面貸しとは、美容室などの空席をフリーランスに貸出して収益を得る方法です。
最近ではフリーランスの美容師やネイリストが増えており、自由に働きたいという方が増えていることから需要が高まっています。
この記事では、美容室の面貸しサービスの特徴やメリット/デメリットについて、利用者(借主)側とサロンオーナー(貸主)側の目線から解説するので、ぜひ参考にしてください。
目次
面貸しとは?
冒頭でもお伝えしているように、面貸しは美容サロンを経営している方が空席を、他のフリーランスの方に貸し出すサービスです。
店舗オーナーは空席を有効活用しながら収益化できる点、フリーランス側は経費を抑えて自由度高く経営できるなどのメリットが挙げられます。
貸主(店舗)側と借主(フリーランスなど)側との関係は、あくまで場所の貸し借りのみが基本であり、業務委託などの雇用関係はありません。
また、貸主側が美容室の場合でも、借主側はフリーランス美容師である必要はなく、ネイリストやアイリストのような他の業態でも借りられる場合が多いです。
貸し出す側によっては様々な条件が設けられることもありますが、フリーランス側にとって比較的自由に働ける環境を得られることが魅力的でしょう。
美容室の面貸しは違法?法律的には大丈夫なの?
「美容室の面貸しは違法なの?」と疑問に思われる方も多いですが、面貸し自体は違法ではありません。
しかし、下記の点で注意が必要です。
- 資格の有無
- 保健所の届出の有無
- 雇用関係
- テナント上の問題
それぞれについて解説します。
資格の有無について
まず、業種によっては国家資格がないと施術を行うことができない点です。
例を挙げると美容師やアイリストは美容師免許が必要となりますが、ネイリストは国家資格は必要ありません。
当たり前ですが貸主側が美容室、借主側がネイリストの場合は、ネイリストは一切美容師が行う施術を行うことができないのです。
保健所の届出の有無について
それでは反対に、貸主側がネイルサロンで、借主側がアイリストの場合はどうなるでしょうか?
このケースの場合、借主側のアイリストが美容師免許を持っていたとしても、施術ができない場合があります。
理由としては、美容室やアイラッシュサロンのように、施術に国家資格が必要な場合、開業時に保健所に営業許可の申請が必要となるのです。
しかし、ネイルサロンの場合は保健所の申請が必要ではありません。つまり、保健所からの営業許可がない場所では、美容師やアイリストのような施術に国家資格が必要な業種は施術ができないことになります。
すこし複雑になってしまったので、下の表にまとめたので参考にしてください。
貸主側 | 借主側 | 営業可能か |
---|---|---|
保健所の運営許可があるサロン (例:美容室/アイラッシュサロン) |
全業種 (例:美容師/ネイリスト) |
◯ |
保健所の運営許可がない場合 (例)ネイルサロン |
国家資格が必要のない施術者のみ (ネイリスト) |
◯ |
保健所の運営許可がない場合 例:ネイルサロン |
国家資格が必要な場合 (美容師/アイリスト) |
× |
雇用関係はない
そして、雇用関係はないという点についても注意が必要です。
面貸しの契約は、業務委託や雇用関係を結ぶものではなく、あくまで場所の利用に関する内容となります。
そのため、貸主側が店舗運営に関わる業務を、借主側に要求することはできません。
テナント上の問題
最後に、法律では問題はないですが、ショッピングセンターや駅構内などのテナントの場合だと面貸しができない契約になっている場合もあります。
そのため、面貸しを始める前に契約書を確認したり、店舗オーナーに確認を取ることが重要です。
要は店舗の賃貸契約において、又貸し(転貸借)になってしまうことで契約違反を避けなければいけないということに注意してください。
面貸しのメリット/デメリット
面貸しのメリットとデメリットについて、貸主側と借主側の場合に分けて解説します。
美容室(店舗)側のメリット/デメリット
まず、美容室(店舗)側のメリットは下記のようなことが挙げられます。
- 空席を有効活用できる
- マネジメントの必要がない
- 他業種ならば紹介なども期待できる
まず最も大きな点としては、空席が多い場合には貸し出すことによって収益の増加が期待できることです。賃料については、貸出時間や期間、貸した人の売上によって変わります。
2点目は、雇用関係がないためマネジメントが必要ではないこともメリットと言えるでしょう。
そして、美容室がネイリストに貸し出す場合は、業種が違うためお互いの顧客を紹介できたり、同じ店舗内でサービスの幅を広げることができる点も集客面で魅力的です。
反対に店舗側のデメリットを見てみましょう。
- 利益の不確実性
- セキュリティー面
- 借主側が問題を起こした時の対応
利益に関しては、貸し出す時間や売上に応じて変化することが一般的です。
そのため、借主が見つからない、借主が集客できず売上が大きくない場合には、想定よりも収益が見込めない場合もあります。
そして、セキュリティー面においても、借主側だけが店舗にいる時はどのように対応するのか、他のお客様とのトラブルなどにおいても契約時に確認しておくようにしましょう。
借主も同じ店舗で働いていることから、顧客とのトラブルがあった場合、店舗全体が風評被害にあってしまうこともあります。
雇用関係はないですが、顧客とのトラブルの対処法についても事前に話し合っておくことが大切です。
フリーランス(借りる)側のメリット/デメリット
続いて借りる側のメリットについても見てみましょう。
- 綺麗な店舗で働くことができる
- 初期費用を抑えることができる
- 自由に働くことができる
面貸しの場合、レンタルサロンよりも内装が整っている場合が多く、お客様からの信頼も高いことが特徴です。
自分好みの内装の店舗や立地条件なども自由に選べることはもちろん、初期費用を抑えて店舗での運営が実現します。
数時間〜1日、1ヶ月〜半年など契約期間も選べますし、雇用関係がないため自由な働き方ができることが最大の魅力でしょう。
一方でデメリットは…。
- 集客や経理業務
- リピート顧客の定着
- 営業時間/休業日/看板の影響
フリーランスとして当たり前のことではありますが、集客対策や経理業務などの運営面では自力で行わなければいけません。
また、貸主側と同業の場合、集客媒体に掲載できないこともあります。
美容業界では、クーポンサイトに店舗情報を掲載して集客することもありますが、同一店舗内だと掲載できない場合もあるので注意が必要です。
フリーランスの特徴として、毎回場所が異なるとリピート顧客が増えないこともあるため、場合によっては長期間の契約の方が向いている場合もあります。
集客ツールを活用する場合も店舗の住所が必要になるため、ある一定期間借りることができる店舗を選ぶと良いでしょう。
他には、営業時間や休業日などの貸主側の条件に従わないといけない場合もあるため、トラブル防止のため事前に確認しておきましょう。
面貸しの料金体系は?
面貸しの料金体系は、利用するサービスによって異なります。
フリーランスの方は自分の理想とする働き方と予算、貸主側は収益性や店舗の状況を考慮して、どの料金体系を利用するかを検討しましょう。
時間制:◯◯分/◯◯時間〜
時間制に限らず、面貸しを行っているサロンが多く集まるのは東京都です。
時間貸しの場合1時間〜が多く、30分単位や1分単位で貸出を行っている店舗があり、相場観としては1,000〜5,000円と幅広いことが特徴です。
主要駅や駅近などの条件が良いところが高くなる傾向ですが、長時間借りる場合、施術単価によっては残る利益が小さくなってしまうことも…。
また、予約が必要になるためお客様が合う時間帯で、理想の場所を選ぶことが難しいこともよくあります。
日にち制/月額制
1日単位や月額制で借りる場合には、1日1万円〜、月額5万円〜が多いです。
こちらも時間制と同様に立地や設備によって費用は大きく幅がありますが、顧客ごとに予約する必要はないため利用しやすいという特徴があります。
一定期間利用することで顧客からの認知されやすくなったり、設備の慣れも出てくるため、同じ場所で自由に働きたい場合におすすめです。
歩合制:売上の〇〇%(パーセント)
時間制ではなく売上の〇〇%のように、売上によって変動する歩合制をとっているところもあります。
大きなメリットとしては、賃料>売上になることがないため、赤字のリスクを最小限に抑えることができる点です。
借主にとっては立地や設備が整っているところでも長期間借りやすいことがメリットでしょう。
貸主の場合でも、利用率が高まる点で魅力がありますし、契約者の売上次第では安定して収益を得られることがメリットです。
まとめ
この記事では、美容室(店舗)の面貸しの概要についてや、借主と貸主の立場からメリットやデメリットについて解説しました。
美容師やネイリストの間でもフリーランスとしての働き方は自由度を増していますし、空席問題を抱えるオーナーにとっても大きなメリットとなります。
面貸しサービスを検討している方は、それぞれの特徴や費用を照らし合わせて利用するか検討すると良いでしょう。
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