美容室を経営しているオーナーの中には、売上が伸び悩んでいたり、経営が持続できる方法が分からない方も多いのではないでしょうか?
美容室を経営していくうえで大切なことは、客単価を意識することであり、売上を効率的に上げることができる重要な手段です。
この記事では、客単価の重要性や平均値、客単価UPのための方法について解説します。
CIN GROUPでは、約2,000店舗以上の美容サロンに、経営アドバイスやサポートを行っているので、ぜひ参考にしてください。
目次
客単価を把握する重要性
客単価とは『顧客1人当たりの1回の来店で消費する平均金額』で算出されます。
具体的な計算式は下記の通りです。
客単価=売上÷客数
客単価と売上には深い関係があり、客単価を上げることができれば売上もUPします。
客単価が上がるということは、料金が高くても需要がある、1回の来店で複数のメニューを選んでいただけるということです。
つまり、今の美容室運営が順調であるということが、数字として確認できるということが言えます。
もし価格を下げて集客しようとすると、価格の安さでしか選ばれないサロンになってしまうので、注意しましょう。
また、客単価を分析すると、現在の美容室運営の単価設定やリピート率などの問題を知ることができます。
客単価は、美容室を開業した段階や売上が伸び悩んでいる時に、経営を見直すことができる大切な指標です。
そのため、美容室の運営に関わるすべてのスタッフが客単価の重要性を理解して、定期的に数値を把握・確認しなければ、経営は上手くいかないでしょう。
美容室の客単価はどれくらい?事業規模別に紹介
【客単価の推移】美容室全体
厚生労働省が公表する美容業に関する統計情報のページによると、美容室全体の客単価の全国平均は、約6,000円となっています。
また、ホットペッパービューティーアカデミーの調査によると、美容室の1回あたりの平均利用金額は、女性7,482円、男性4,708円で、男女ともに過去5年で最高額となったことが分かりました。
要因としては、メニュー料金の値上げが8割を占めています。
料金の値上げ以外の理由としては、女性は若年層を中心に、ハイトーンカラーや髪質改善などの高単価メニューが流行したことや、男性は利用メニューの多様化が進んだことが挙げられました。
このように、カット以外のカラーやパーマ、トリートメントなどの利用率が増加したことで、利用金額の上昇につながったと考えられているのです。
客単価だけでなく、平均売上も気になるところですが、サロンの規模によって異なってきます。
下記からは、事業規模別で美容室の平均売上について詳しくご紹介していきますので、引き続き読んでみてください。
個人経営の小規模美容室
小規模美容室の特徴は下記の通りです。
- 従業員は1~5人
- 客席は3~10席
- 経営する店舗数は1~2店舗
- お客様対応は基本的に1対1
- 開店から閉店までの一連の業務を担当
次からは、1人で経営する場合の売上をシュミレーションしていきます。
項目 | 数値 |
---|---|
客単価 | 6,000円 |
1日で対応可能な客数 | 5人(1人の施術時間が90分の場合) |
1ヵ月の営業日数 | 26日(1ヵ月の定休日が4日の場合) |
売上 | 780,000円 |
夫婦での経営やアシスタントの採用など、従業員が2人以上になれば回転率も上がり、売上も増やすことができるでしょう。
法人経営の中〜大規模美容室
中~大規模美容室の特徴は下記の通りです。
- スタッフは10人以上
- 客席は15席以上
- 複数店舗で展開している所が多い
- 有名店、チェーン店が多い
アシスタントが施術の大半を担当し、スタイリストが複数のお客様を掛け持ちしながらアシスタントに指示を出して、業務を行うケースが多いです。
中~大規模美容室の場合の売上をシュミレーションしてみましょう。
項目 | 数値 |
---|---|
客単価 | 6,000円 |
1か月の営業日数 | 26日(1ヵ月の定休日が4日の場合) |
・平日 ・休日 |
10人 14人 |
売上(合計) ・平日 ・休日 |
1,752,000円 1,080,000円 762,000円 |
中〜大規模美容室は、施術席やシャンプー台が多く置いてあり、一度に複数のお客様の対応が可能です。
そのため、小規模美容室に比べて回転率が高く、売り上げを上げることができるでしょう。
単価UPに効果的なメニュー
セットメニューを出す
美容室ではカットやカラーといった単一メニューに、トリートメントやパーマなどを追加することがあります。
単一メニューよりも安価に設定して提供することで、お客様にお得感を感じていただくことができるでしょう。
また、同時進行ができるようなメニューを作っておくことで、時間単価も良くなります。
例えば、トリートメントなどは短い施術時間でもプラス料金を得ることが可能です。
このように、通常の施術メニューの値上げが難しい場合は、セットメニューを作って単価UPを狙ってみると良いでしょう。
オプションメニューを追加する
客単価を上げるためにはお客様に寄り添い、それぞれの要望に合わせた提案をすることも重要です。
例えば常連客の場合、選ぶメニューは毎回同じになってしまいがちですが、来店間隔や季節などに応じて違ったオプションをおすすめしていけば、客単価を上げることができるかもしれません。
具体的なオプションメニューの例は、下記のようなものがあります。
・カラーを行う時に、お客様の髪の状態に合わせたトリートメントのメニューを提案する
・シャンプーを行う際に、季節の悩みに合わせた特別なスパメニューを用意して提案する
お客様のカルテをよく分析して、セットメニューによってお客様それぞれの悩みを解決できるような提案を行なって、リピート率向上につなげていきましょう。
店販に力を入れる
店販に力を入れることも、単価UPのために効果的な施策と言えるでしょう。
店販とは、美容室の店内でヘアケア商品のような美容に関する商品を販売することです。
美容室の中には店販を苦手とする所もありますが、ひと工夫することで単価を上げやすくなりますので、ぜひ挑戦してみましょう。
店販の代表的な商品として、シャンプーやホームケア用のトリートメント、ヘアワックスが挙げられます。
数年前までマスク生活が続き、目元やフェイスケアを重視する方が増えたことから、ファンデーションやまつ毛美容液などを販売してみるのもおすすめです。
実際に施術中に使ってみたり、テスターを置いたりして効果を実感してもらうと購入につながりやすくなります。
CIN GROUPでは、美容室向けの商材販売をしているECサイト:CIN Beauty Shelfを運営しておりますので、店販を検討している方はぜひご検討ください。
平均客単価のデータを見る時の注意点
単価に限らずデータを見る時は、下記の平均値/中央値/最頻度を意識していきましょう。
平均値
平均値とは、データの合計値をデータ数で割ったものです。
下記のような場合で平均値を計算してみましょう。
メニュー | 客数 |
---|---|
4,000円 | 10人 |
5,000円 | 3人 |
7,000円 | 2人 |
【平均値の計算の流れ】
4,000×10=40,000
5,000×3=15,000
7,000×2=14,000
(40,000+15,000+14,000)÷15=4,600円
平均価格は4,600円となります。
平均値はデータ全体の特徴を把握したり、データ同士を比較する時に使用するため、全ての数値を考慮できる点がメリットです。
一方で、外れ値がある場合に値が大きく左右されてしまうことがデメリットになります。
※外れ値:他の数値と比較して極端に外れた値のこと。
中央値
データを順番に並べたときに真ん中に来る値のことです。上記の例の場合、15人のデータがある中で8番目が中央の値になるため、4,000円が中央値となります。
データの数が偶数の場合は、真ん中に最も近い2つの数値を足して、2で割った数値が中央値です。
中央値は、平均値と比べて外れ値の影響を受けにくいため、外れ値があるデータを扱う場合は、中央値を使うと良いでしょう。
ただし、中央値は全体のデータから計算する数値でないため、注意が必要です。
あくまでもデータの真ん中を示した値に過ぎないため、データ全体の推移を確認するには適していません。
最頻値
最頻値とは、最も多く現れる数値のことです。
上記の場合、1番多くの人が利用している4,000円の10人が最頻値となります。
最頻値も外れ値の影響を受けにくいうえに、中央値と比べると分布も配慮できるため、分布に偏りがあるケースで使用することが多いです。
このように、平均値/中央値/最頻値でメリット・デメリットがあるため、それぞれの違いを理解した上で正しくデータを見るようにしましょう。
単価UP/売上UPのための考え方
来店サイクルを考慮する
来店サイクルとは、一定期間内にお客様が美容サロンを訪れる頻度を意味します。
来店サイクルを計算することで、美容室をリピートしてもらったり、長い間来店していないお客様に利用してもらったりする戦略を立てることができるのです。
お客様の来店サイクルを短くすることができれば、結果的に来店回数が増えて、そのお客様の年単位の単価も上げることが可能でしょう。
来店サイクルを短くする方法として、下記のような例が挙げられます。
平均来店サイクルが40日の場合、1ヶ月以内に来店すると割引となるメニューを用意する。
- 1ヶ月以内の来店は5,000円
- 1ヶ月以降の再来店は6,000円
このように、来店サイクルはただ計算するだけではなく、短縮を目指して施策を立てることが重要です。
ホットペッパービューティーでは、来店サイクル短縮の施策を立てることができます。
例えば、期間限定のクーポンを発行して早めの来店を促したり、来店サイクルが延びがちなお客様にクーポン付きのメッセージを送ったりすることが可能です。
ホットペッパービューティーでは、顧客や売上を集計・分析できる機能が無料で利用でき、経験豊富な専門のスタッフが、来店サイクルの計算や、単価UPのための分析を分かりやすくサポートいたします。
経営が初めてでも安心して利用できたと、多くのオーナー様にご好評いただいておりますので、まずはお気軽にお問い合わせください。
時間単価を考慮する
売上UPのためには、客単価を上げていくことだけでなく、時間単価を考慮していくこともポイントになってきます。
なぜなら、客単価が高くても施術時間が長ければ、生産性は落ちてしまうからです。
例えば、メンズカットが30分で3,500円、レディースのカットカラーが1時間半で6,900円だとしましょう。
1時間あたりの生産性で見ると、メンズが7,000円、レディースが4,600円となり、客単価は倍近く違いますが、時間単価はメンズが圧倒的に高いことが分かります。
このように、時間単価を考慮したメニューの方が、効率的に利益を上げることができるのです。
そもそも時間単価とは、1時間あたりの単価のことを意味します。
算出方法は下記の通りです。
時間単価 = 売上÷お客様の滞在時間
(例)
項目 | 数値 |
---|---|
1日の客数 | 5人 |
施術時間の合計 | 6時間 |
売上 | 6万円 |
時間単価 | 1万円 |
店舗でメニューを考える際は、1時間あたりいくら売り上げたいのか、どのようにしてお客様に満足を提供できるのかを考えていくようにしましょう。
ターゲットを明確にする
集客を行う際は、ターゲットを意識することが大切です。
性別や年代、職業、経済力、既婚未婚、居住地などが重なり合うことで、ターゲットにするお客様のニーズや悩みは変わってくるでしょう。
そのため、どのようなお客様に来店していただきたいのか明確にすることで、ターゲットが美容室に求めている価値を考えることができ、それに見合う価格設定ができるようになります。
価格を優先する顧客ではなく、悩みが解決できるなら多少価格が高くても払いたいと思う方を集客できれば、リピート率が上がり結果的に売上も伸ばすことが可能です。
まずは「誰にどんな価値を提供するのか」をしっかり考えたうえで、ターゲットを選定していきましょう。
まとめ
この記事では、客単価の重要性や平均値、客単価UPのための方法などについて解説してきました。
客単価を上げるための方法として、メニューの工夫や様々な数値の分析、集客対策などさまざまです。
しかし、自分の美容室に最適な方法が分からず、何から始めたらいいのか悩んでいる方もいるのではないでしょうか。
ホットペッパービューティーに掲載する大きなメリットは、予約管理/集客対策/相談・支援/などのサービスが利用できる点です。
CIN GROUPはホットペッパービューティーの代理店であり、経営のコンサルティングから客単価UPのプランニングまで、各店舗に合わせたサポートをさせていただきます。
美容室の経営に不安を持たれている方や、客単価を上げていきたいと考えている方は、ぜひ下記のフォームからお問い合わせください。
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