エステやリラクゼーションサロン、ネイルサロンなどは自宅でも比較的簡単に開業することができます。
そのため、副業として経営したり、子育てをしながら収入を得たいと思っている方から人気です。
自宅サロンは移動時間が少ない、自由に働けるなどのメリットも多く魅力的ですが、個人事業主として開業することになるため、一定以上の収入がある場合は確定申告をする必要があります。
この記事では、確定申告の概要を説明した上で、自宅サロンではどのように確定申告をするのかについて解説します。
CIN GROUPでは、自宅サロンを含めてこれまで2,000店舗近くの美容サロンの経営アドバイスを行なってきた経験がありますので、自宅サロンオーナーの方はぜひ参考にしてください。
確定申告とは?サロン経営で避けては通れない理由
そもそも確定申告とは?
まず、確定申告とはどのようなものなのか理解しましょう。
確定申告とは、1〜12月の間で収入があった場合に、所得を計算した上で納税額を申告し納税する手順の事です。
会社員の方は事業者側が年末調整をしてくれるため、確定申告は必要ではありません。
しかし、フリーランスや自宅サロン経営者のような個人事業主は、基本的に確定申告が必要です。
自宅サロンで知り合いにしか施術をしない場合でも、経営をして収入を得ていることに変わりはありませんので、開業届を提出し事業開始の報告を忘れないようにしましょう。
税金を支払いたくないと考える方もいるかと思いますが、家賃の一部や施術道具の仕入れで経費に落とすことができるため、結果的に収入が大きくなる場合もあります。
また、補助金などの申請も開業届をしていないと申請できません。結果的に、開業届を提出し、確定申告を行うことで得られるメリットもあるのです。
確定申告をしなければ追加で税金を支払う場合も
もし、税金を支払わなければいけない額の利益があり、確定申告をしていない場合は、「無申告加算税」や「延滞税」などの税金を追加で支払わなければいけない可能性があります。
また、2011年(平成23年)の税制改正によって「故意の申告書未提出」、つまり確定申告を行わないことによる脱税は、5年以下の懲役もしくは最大500万円以下の罰金、またはその両方」が課されることになりました。
初めて自宅サロンを開業される方は、確定申告や税金についてあまり深く理解していない方も多く、意図せず無申告となってしまうこともあるでしょう。
しかし、納税義務が生じる収入がある場合には、しっかりと確定申告で納税額を把握し、税金を納めなければいけないことを覚えておきましょう。
自宅サロンの確定申告の方法は?
この項目では、確定申告をするまでの手順を簡単に紹介していきます。
自宅サロンで経費にできる項目は?領収書は必要?
施術道具や薬剤の仕入れ、収納用具などの事業に関する支出は経費にすることができます。開業準備段階からかかった費用を把握するために、領収書を保管することが重要です。
領収書自体は確定申告の際に必要でないものの、何にどれくらい使ったのかを証明する際に必要となります。
美容サロンの運営に関わる経費の例としては下記の通りです。
- 家賃
- 水道光熱費/通信費
- 商材の仕入れ
- 収納家具や機材の購入
- 宣伝広告費
もし、普段住んでいる自宅の一部を施術部屋にしている場合は、施術部屋の広さの割合から経費にできる金額が変わります。
水道光熱費や通信費も同様で、普段自宅で使用しているものを事業でも使用する場合は、按分して計算しましょう。
また、脱毛や痩身といった業種のエステサロンは、機材の導入も検討するかもしれません。
場合によっては高額な機材を購入することになりますが、10万円以上のものは「固定資産」となり、1年で全額経費にすることはできず、減価償却の計算をして経費にする必要があります。
リースで毎月固定の支払いで、10万円以下になる場合は全額経費にすることができるといった違いも覚えておくと良いでしょう。
下記記事では、美容サロンで経費にできる支出を解説しているので、併せてご覧ください。
収支内訳書または青色申告決算書を準備する
自宅サロンオーナーは個人事業主となり、確定申告をする際に「白色申告」と「青色申告」の2種類のどちらか一方を選ぶことになります。
白色申告の場合は収支内訳書、青色申告の場合は青色申告決算書を提出しましょう。
青色申告は複式簿記での帳簿が義務付けられていますが、白色申告よりも控除額が大きく税制上の特典があるので、基本的には青色申告を選ぶことがおすすめです。
収支内訳書と青色申告決算書は、どちらも収入や売上原価、経費の内訳を記載します。
白色申告は税制上のメリットは小さいものの、収支内訳書は記載する項目が少ないため、青色申告決算書よりも簡単に作成できます。
勘定科目の集計を行う
勘定科目とは、事業で行なった取引を分類するための、簿記の科目のことを指します。
勘定科目は、その年の財務状況を項目ごとに集計するために必要であり、日々の仕分けを行う必要があります。
資産/負債/純資産/収益/費用の基本の5つのグループに分けて、取引の項目をまとめるのです。
収支内訳書または青色申告決算書を作る
1年間の全ての取引をまとめたら白色申告の場合は収支内訳書、青色申告の場合は青色申告決算書を作りましょう。
最近では、仕分けから勘定科目をまとめるまで、会計ソフトを使用すれば個人でも簡単に進める事ができます。
インターネットでの申告書の提出に対応していたり、申告の条件が変わった時でも対応してくれるため、簿記の知識がない方は会計ソフトのサービスを利用しても良いでしょう。
参考:https://www.yayoi-kk.co.jp/products/shinkoku.html
確定申告に必要な書類の準備/作成
確定申告の申請書はAとBの2種類があります。基本的に会社員は申請書A、自宅サロンオーナーのような個人事業主の方は申請書Bを準備しましょう。
その他、確定申告の際に必要となる書類は下記の通りです。
- 申請書B
- 本人確認書類
- 銀行口座の情報
- 収支内訳書/青色申告書
- 所得控除や税額控除の書類
本人確認証は、マイナンバーカードの表と裏の写しを準備しましょう。もし持っていない場合は、通知カードや住民表などの番号確認書、運転免許証や健康保険証、パスポートの身元確認書の2種類を提出します。
払い戻しされる場合は、口座に入金されるため、銀行口座番号がわかるものも準備しておきましょう。
これらの書類は郵送や税務署窓口に提出する必要がありますが、電子申告の場合はほとんどが省略されます。
所得税を納付する
確定申告は毎年1月1日〜12月31日までの1年間の所得を、翌年の2月16日〜3月15日に提出する必要があります。申告分の所得税の納付期限は、確定申告の期限と同じ3月15日です。
しかし、口座振替で納税する場合は4月下旬に指定口座から引き落とされます。
支払う所得税は2分の1以下を5月末に先延ばしにすることができる制度がありますが、延滞する分の利子税が加算されることも覚えておきましょう。
あらかじめ納税する所得税を頭に入れておき、スムーズに納付できるように準備しておくことが大切です。
記帳した方が良い?帳簿の種類を解説
エクセル
エクセルは、ある程度パソコンの操作に慣れていたり、データの入力の経験がある方が活用していることが多いです。
簡単に修正できるだけでなく、慣れていれば自由度の高いフォーマットも作成することができます。
購入したパソコンの中にすでにエクセルがインストールされている場合は無料ですし、ソフト自体を購入する場合でも約16,000円(Excel 2019)のため、低価格で導入することができる点も魅力です。
すでにエクセルの使用に慣れていて、帳簿の知識もある方は是非活用すると良いでしょう。
手書き
普段からパソコン操作になれていない方の場合は、手書きで帳簿をつけることになります。
手書きの方が経営状況が頭に入ってきやすい、簿記の知識をもつことができるといったメリットがありますが、やはり時間と手間、管理の方法も注意しなければいけません。
転記する際にミスがあったり、過去のミスを修正する時にどこが間違っていたのか気づくまでにも時間を要します。
仕訳帳を紛失してしまうと、確定申告にも影響が出てしまうため、慎重に管理することが大切です。
会計ソフト
弥生会計などの大手の会計ソフトは、作業量が大幅に軽減されますし、簿記の知識があまりない方にとっても簡単に扱えることが魅力的です。
自動で仕訳可能、計算ミスがない、法改正があった時にも対応してくれるなど、個人事業主にとって必要不可欠と言えるでしょう。
ただし、エクセルや手書きに比べてコストがかかります。例を挙げると「やよいの青色申告 オンライン」は8,800円/年です。(2022年12月現在)
しかし、簿記の知識がなくても効率よく帳簿ができるので、予算に余裕がある場合は積極的に活用すると良いでしょう。
どのように記帳したら良い?帳簿の付け方を解説
現金出納帳に記入する
まずは、毎日の取引の記録を現金出納帳などの補助簿に記入しましょう。
補助簿とは、総勘定元帳や仕訳表のような主要簿の補助のためのもので、未回収の取引先の掛金を確認することにも役立ちます。
仕訳帳にまとめる/総勘定元帳に記入する
先に述べたように、青色申告をするためには複式簿記での記帳が求められます。
左側に借方、右側に貸方となり、借方は現金などの財産が増えたことを示し、反対に貸方は財産が減ったことを表しています。
このようにして、作成した仕訳を総勘定元帳に複式簿記で記入しましょう。
青色申告書を記入する/確定申告
総勘定元帳を参考にして、青色申告決算書を記入し、確定申告を行いましょう。
郵送や直接役所や税務署に提出する必要がありましたが、現在ではインターネットで提出することが可能になりました。
e-taxの申請によって控除額が55万円から65万円に上がりますし、手間と時間も省けるためe-taxでの電子申請がおすすめです。
確定申告をする際に使用した書類や帳簿は、5〜7年間の保存期間がありますので、忘れずに保管しておきましょう。
まとめ
この記事では、自宅サロンオーナー向けに確定申告の方法について解説しました。
自宅サロンの確定申告は準備することも多く、初めての場合はわからないことも多いですが、何度か自分で行なっていく内に慣れてくるものです。
開業届を提出する時に、控除額も大きい青色申告届出も同時に提出することをおすすめいたします。
CIN GROUPでは、サロン経営に関わることをサポートしているので、何かご不安や疑問点がある方は、お気軽にご相談ください。
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