開業時に必要な国家資格がなく、ハードルが低いので競合店が多いエステティシャン。
経営を成功させるためには、開業前に経営の土台を形作っておくことが必要不可欠です。
今回はエステサロンの独立を考えている方向けに、独立する際の開業形態や取得しておきたい民間資格についてご紹介しています。
株式会社CINGROUPではこれまで2,000店舗以上の美容系サロンをサポートした実績があるので、ぜひ参考にしてください。
エステティシャンとして独立するメリット/デメリット
独立するメリット
エステティシャンとして独立するメリットには下記の4つが挙げられます。
- 収入に上限がない
- 好きな場所で働ける
- 営業時間を調整できる
- 様々なことに挑戦できる
それぞれ詳しく解説したいと思います。
収入に上限がない
スタッフ時代の月収は基本給と各種手当を足した額に、店舗によっては指名料として給与の2、3割を追加で支給しているところがほとんどです。
しかし独立すると、売上から諸経費を引いた額全てが自分の収益になるので、努力次第ではスタッフ時代よりも多くの収入を得ることができるという魅力があります。
好きな場所で働ける
独立開業の形態としては主に下記の3種類があります。
- 自宅
- 賃貸マンション
- テナント
どの形態にもそれぞれ良し悪しがあるので、自分に合ったものを選択することが大切です。
例えば自宅開業であれば通勤にかかる時間やお金を抑えることができますし、本格的にサロン経営をしたい方の場合はテナントを借りて開業する形が好ましいでしょう。
営業時間を調整できる
最近、若者の働き方に対する考え方が変化していることはご存じでしょうか。
「仕事以外にも、家族や友人と過ごす時間も大切にしたい!」と考える方が年々増加傾向にあり、自分に合ったワークライフバランスを手に入れるために、転職や独立をする方も多いです。
独立は、自分で営業時間を調整できるので、ライフステージが変化してもその時に合った働き方をできる魅力があります。
様々なことに挑戦できる
独立をすると自分で自由にメニューを決めることができ、サロンに勤めていた時は提供できなかったサービスを施術できるようになります。
お客様のニーズに合わせて新メニューの展開をすると、新しいターゲット層からも共感を得られるので、新規のお客様に来店してもらうきっかけになりやすいです。
独立するデメリット
エステティシャンとして独立するデメリットは主に下記の3つが挙げられます。
- 保証が少ない
- 収入が安定しない
- 管理/運営/手続きなどを全てやらなければいけない
それぞれ詳しく解説します。
保証が少ない
個人事業主になると雇用保険や労災保険に加入することができません。
どちらの保険も従業員にしか加入する権利が与えられていないため、病気や事故などで働けなくなった場合手当を受けられず、収入がゼロになってしまうというリスクがあることを覚えておきましょう。
収入が安定しない
従業員であれば勤務初月から基本給として、最低限の賃金が保証されますが、独立すると売上によってその月の収入が変動します。
特に開業から1年半までは集客が上手くいかず、客数が伸び悩むケースも多いので、赤字である店舗がほとんどです。
開業する際にはある程度余裕を持って運転資金を調達しておくことをオススメします。
管理/運営/手続きなどを全てやらなければいけない
個人サロンを円滑に運営していくためには施術以外にも1人でやらなければならない仕事が多くあります。
- 清掃
- 集客対策
- 確定申告
- 予約/顧客管理
- カウンセリング など
具体的にはこのような業務が挙げられるでしょう。
全ての業務を自分で行おうとすると、時間が足りず中途半端に終わってしまうことも多々あります。
自分1人の力では、どうにもならないと思ったとき『人の手を借りる』という手段があることも忘れないでください。
具体的には清掃やカウンセリングといった他の人には任せられない業務は自分で行う、外部に業務委託できるものは任せる、といった工夫をすると良いでしょう。
しかし業務委託は外部の人にお願いをするので受託側に報酬を支払う必要があります。
金銭的なバランスを考えて業務委託を活用し、効率化を目指しましょう。
独立の手段
実際に独立するとなった時にどのような手段があるでしょうか。
下記の4つに分類して解説します。
- 自宅サロン
- 賃貸マンション
- 店舗運営
- フリーランス
自宅サロン
自宅サロンの開業時の初期費用には一般的に80万円かかります。
自宅開業は空室をサロン用として活用する開業スタイルで物件取得にかかるコストがなく、初期費用が少ないのが特徴です。
しかし自宅サロンは生活感が出やすいことが難点なので、内装を変更する際にはお客様にリラックスしていただける、居心地の良い空間を作りましょう。
賃貸マンション
賃貸マンションの開業には初期費用で160万円ほどかかります。
賃貸マンションの開業は新しくサロン用に部屋を借りて開業するスタイルで、次の項目で説明する店舗運営の形態と比較すると開業資金を抑えることが可能です。
しかし事業用として貸し出しているマンションは少なく、近隣住民からも理解を得なければならないので、開業後のトラブルリスクが高いというデメリットがあります。
店舗運営
店舗運営の場合、初期費用には200万円ほどかかります。
店舗運営はテナントを借りて開業するスタイルで、商業施設や駅周辺に多く建設されているため集客に強いのが特徴です。
前のオーナーが残していった設備を活用できる、いわゆる居抜き物件を探せれば内装工事費や設備費を通常よりも抑えられるメリットもあるので、時間をかけて物件を探しましょう。
フリーランス
フリーランスとして働くには、レンタルサロンやシェアサロンといった空きスペースを借りて仕事をする方法や、お客様のもとに直接伺う出張エステという形が一般的です。
店舗を構える形態とは異なりお客様とは直接契約でつながっているので、お客様とのメッセージのやり取りはこまめに行い、良い関係性を維持しましょう。
経験を積み、知識が深まってくると講師としてエステサロンに所属する働き方も目指すことができます。
講師はサロンと業務委託契約を結び、新人スタッフの教育を担当するのが主な仕事で、お客様と直接関わるような機会は少なくなるかもしませんが、教えるのが好きな方にはオススメです。
フリーランスで成功するためには、自分からアプローチする力が問われるので、営業力や交渉術を学んでいくと良いでしょう。
独立したら年収は上がる?
エステサロンは競争率が高い業界なので、独立したらすぐに稼げるようになるわけではありません。
独立しても経営力や技術力が無ければ廃業リスクが高く、サロンを存続させることも難しいでしょう。
エステティシャンとして生き残っていくためには、今持っている施術スキルを高める以外にも、新たなスキルを身に着けるために自発的に勉強会へ参加をすることが必要です。
この項目では自分の店舗を持って活動する場合とフリーランスで活動する場合に分けて、年収アップするためのコツについてご紹介します。
【店舗運営】
・資格を取得する
・経費を削減する
・集客対策に力を入れる
【フリーランス】
・資格を取得する
・お客様との繋がりを大事にする
・SNSを利用してセルフブランディングをする
フリーランスでは客数を安定させるために集客対策の代わりとして、SNSを活用して自分自身の知名度を上げることが大切です。
店舗運営よりも新規のお客様を集めることは時間も手間もかかるので、顧客離れには気をつけましょう。
独立を検討するタイミング
エステティシャンは美容師や理容師とは異なり、開業の際に国家資格は必要ありません。
そのため美容系の中では未経験者でも目指しやすい職種といえるでしょう。
この項目では、独立を目指すタイミングについてご紹介します。
サロンで2〜3年経験したあと
エステサロンで2~3年の修行を積んだ後、業務にも慣れてきて仕事の目標が明確になってきた頃に独立を検討する方が多くいらっしゃいます。
ただし2~3年では経験としてはまだまだ足りないので、技術力や経営力、接客力を鍛える必要が出てくるでしょう。
エステサロンの廃業率は1年で60パーセント、3年で90パーセントと言われており、未経験者や経験の浅い人にとっては厳しい世界です。
エステ業界で生き残っていくためには、肌や美容に関する高い知識力やお客様の要望を聞き入れるカウンセリング力などといった、誰にも負けない強みを一つでも多く身に着け、アピールしましょう。
ライフスタイルが変化する時
結婚/出産/子供の進学など、自分や家族のライフスタイルが変化するタイミングで独立を考える人は多いです。
例えば女性の場合、結婚や出産、それに加えて育児と、ライフスタイルはその時々によって変化していきます。
普段は家事や育児で時間が取られるため、毎日出勤することや長時間働くことが体力的にも難しいと感じる人も、多くいらっしゃるのではないでしょうか。
変化するライフステージの中でも時間を決めて働きたいという方には、思い切って独立して自分のサロンを開業することをオススメします。
サロン未経験ならば民間資格の取得してから
資格 | 条件 | 特徴 | |
---|---|---|---|
日本エステティック協会 | AJESTHE認定エステティシャン | ・認定校で300時間コースを修了 ・認定校で1000時間以上のコースを修了 ・1年以上の実務経験がある |
・上位資格は2種類あり、自分の成長に合わせて取得可能 ・フェイシャルエステ、ボディエステに特化した資格もある |
日本エステティック業協会 | AEA認定エステティシャン | ・認定校で300時間以上のコースを履修 ・1年以上の実務経験がある |
・上位資格は2種類あり、自分の成長に合わせて取得可能 ・認定講師としての技術力を証明できる資格もある |
CIDESCO-NIPPON | Beauty Therapy Diploma | ・認定校で1200時間以上のコースを修了 ・2年以上の実務経験があるエステティシャン |
・国内資格よりも厳しい ・最も高く評価されているエステティシャンの国際資格 ・知識/技術が世界水準であることの証明になる |
エステティシャンとして独立するために必ず取得しなければならない資格はありません。
しかし未経験かつ民間資格を取得していない方の開業は失敗に終わるケースが多いので、スキルの証明ができる民間の資格を取得しておいた方が良いでしょう。
上の表では民間資格を提供している団体を3つご紹介しました。
資格取得をする方はぜひご参考ください。
技術的なことだけではなく、接客スキルや経営スキルを同時に学ぶことができるスクールもあるので、資格を取得してから独立することをオススメします。
参考:日本エステティック協会
参考:日本エステティック業協会
参考:CIDESCO-NIPPON
独立するまでの流れ
このような順序で開業の準備を進めるとよいでしょう。それぞれのステップを詳しく解説していきます。
① 業種の決定と資格取得
エステティシャンといってもサービスの種類は複数あります。
- 脱毛エステ
- ボディケアエステ
- フェイシャルエステ
- リラクゼーションエステ
独立開業を考え始めたら最初の段階で業種の決定と、時間のかかる資格の取得から進めましょう。
② コンセプト/ターゲットの決定
業種が決定したら、コンセプトとターゲットを設定することが大切です。
『どのようなエステサロンにしたいのか。』、『自分の強みを活かすにはどのような工夫をしたらよいか』などを箇条書きやブレインストーミングで紙に書き出してみましょう。
紙に書き出してみると、曖昧だった理想のイメージがはっきりしてくるのではないでしょうか。
自分の強みや弱みを把握し、周辺の店舗に負けないお店を目指しましょう。
③ 資金調達
開業前の資金調達には初期費用と運転資金が必要です。
エステサロン開業に必要な初期費用と運転資金についてテナント開業を例にご紹介します。
テナント開業をする際には初期費用は400万円以上、運転資金は6か月分として300万円以上を準備しておくと安心でしょう。
事業が軌道に乗り出すまでの間は経営が苦しく、赤字覚悟で運営するサロンがほとんどです。
自己資金が足りない方は次の項目で紹介する融資制度を利用してみましょう。
④ 事業計画書の作成
事業計画書はビジョンやコンセプトをもとに経営戦略を立てるのに役立ち、明確な目標やリスク対策を考えることができます。
具体性のある事業計画書の作成をすると、融資の審査に通りやすくなるというメリットもあるので、この段階でメニューや価格なども考えておくといいかもしれません。
開業時に利用できる融資制度について2つご紹介します。
融資限度額 | 返済期間 | |
---|---|---|
一般貸付 | 4800万円(特定設備資金の場合7200万円) | ・運転資金:5年以内 (措置期間:1年以内) ・設備資金:10年以内 (措置期間:2年以内) ・特定設備資金:20年以内 (措置期間:2年以内) |
規開業資金 | 7200万円(うち運転資金が4800万円) | ・運転資金:10年以内 (据置期間:5年以内) ・設備資金:20年以内 (据置期間:5年以内) |
どちらも国が運営している日本政策金融公庫の制度なので安心して利用できます。
他にも様々な制度があるので条件や金利などを見比べながら、自分に合ったものを見つけていきましょう。
参考:一般貸付(日本政策金融公庫)
参考:新規開業資金(日本政策金融公庫)
⑤ 物件の契約
事業計画書の作成までできたら、開業に向けて物件探しをしましょう。
物件探しのコツは下記の通りです。
- ターゲットの存在
- 店舗周辺の雰囲気
- 競合店の有無
物件探しにおいて人が集まりやすい立地を探すことはもちろんですが、人通りが多い商業施設の近くやオフィスビルの一角は家賃が高いので開業資金とのバランスを考えながら決定しましょう。
また店舗周辺の雰囲気やターゲットの存在を事前に調査しておくと、集客対策に活かすことができます。
調査の際にはインターネットで調べるだけではなく、実際に街を歩き自分の目で確かめることが大切だということも覚えておきましょう。
⑥ 内装工事/機器の搬入
物件の場所が決まったら内装工事の手配と機材の搬入を同時に行いましょう。
施工業者と配送業者の都合で遅延し、予定通りに進まないことも多々あるので、業者さん用にスケジュールを組みスムーズに開業できるように交渉することが大切です。
⑦ 集客対策
申し込みから掲載されるまでの期間のことも考慮して最低1か月前には集客対策を始めるとよいでしょう。
集客ツールには費用対効果の高いホットペッパービューティーがおすすめです。
ホットペッパービューティーの月間利用ユーザーは3500万人と多く、美容に関連するキーワードの検索では上位に表示されるため、新規顧客に対する集客力があります。
ユーザーの需要とかみ合えばより多くの人から関心を集めることができ、良いスタートを切ることができるでしょう。
⑧ 届出の手続きを行う
開業する準備が整ったら開業届と青色申告申請書の書類を準備するとよいでしょう。
提出期限は開業届が事業開始から1か月以内で、青色申告申請書は事業開始から2か月以内なので、焦る必要はありませんがオープン前に余裕をもって準備しておくことをオススメします。
どちらも提出先が管轄の税務署なので同じタイミングで出しておくと、あとから慌てて提出することもなく、安心です。
まとめ
今回はエステティシャンの一般的な働き方や開業時のポイントについて説明してきました。
この記事を読んで、「エステティシャンとして独立し、自分の実力を試してみたい!」と思っていただけたら幸いです。
ホットペッパービューティーでは経験豊富な営業担当が開業のサポートから集客対策、経営戦略の提案までをお手伝いしてくれるので、1人で開業する際に抱える疑問や不安を減らすことが出来るでしょう。
初めての開業で失敗したくないという方はぜひホットペッパービューティーにお問い合わせください。
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