美容室のオーナーの中に「せっかく育てたアシスタントが辞めていってしまう。」「新しく人を採用してもすぐに辞職する。」「問題はお店にあるのかもしれないけど改善点が分からない。」と悩んでいる人もいるのではないでしょうか。
美容室の離職率は非常に高く、定着させるためにはスタッフの声をよく聞き、魅力的な職場環境に改善していく必要があります。
この記事ではスタッフが離職してしまう理由とその改善策についてまとめました。
株式会社CIN GROUPでは、これまで2,000店舗以上の美容サロンのサポートをさせていただいた実績があるので、ぜひ参考にしてください。
美容室の離職率
厚生労働省の調査によると令和3年の美容師を含む『生活関連サービス・娯楽業』の離職率は22.3%で令和4年の離職率は18.7%、産業全体ではそれぞれ2位、3位の離職率を記録しています。
美容師の離職率が高い原因は7つに分けられるでしょう。
- 独立したい
- 収入が少ない
- 体力的にきつい
- 労働時間が長い
- 下積み期間が長い
- 人間関係が良くない
- 条件/待遇が良くない
次の項目では以上の7つについて詳しくご説明します。
スタッフがすぐに辞めてしまう理由
1. 労働時間が長い
厚生労働省の『令和5年就労条件総合調査』によると、全ての産業を含む労働時間の平均が7時間48分に対して、美容師の平均労働時間は9時間24分で他の業界と比較しても労働時間が長いです。
労働時間が長くなる原因は、業務時間外にレッスンや自主練習を実施することにあります。
アシスタント期間中はレッスンを営業終了後や休日に行うこともあり、拘束時間が長くなりやすいです。
長時間労働による不満は離職に繋がることもあるので、従業員がしっかりと休める環境を提供するようにしましょう。
1日の労働時間は8時間までと労働基準法で決められているので、8時間を超えて従業員に働いてもらうためには、会社と従業員の間に残業、休日などの取り決めである『36協定』を結ぶことが必要です。
2. 収入が少ない
厚生労働省によると2023年の全体の平均賃金は31.8万円、美容師を含むサービス業の平均賃金は27.9万円です。
美容師を含むサービス業と全体の給与を年齢別に分けると上記のようになります。
美容師は勤続年数に伴って賃金や役職が上がっていく年功序列制度ではなく、実力で評価される成果主義的の面があるので、他の職種に比べて平均賃金が伸びにくいことが分かるでしょう。
3. 人間関係がよくない
美容師の収入の内訳は以下の通りです。
- 物販
- 基本給
- 役職手当
- 指名料(インセンティブ)
頑張りに応じてもらえる指名料は他の職業にはない特別な制度で、その人のモチベーションアップに繋がる利点があります。
しかし客数の少ない中小規模の店舗の場合、新規顧客の取り合いが起き、スタッフ同士の関係性が悪化する原因になる可能性があるので注意しましょう。
4. 下積み期間が長い
スタイリストになるまでの期間が長いこともスタッフが離職する原因になります。
一般的にスタイリストになるまでに3年かかると言われていますが、人によっては5年かかることも少なくありません。
研修期間が終わるまでモチベーションが続かないという方も多く、実際にスタイリストになれるか不安だったと答えた人は全体の6割以上います。
5. 条件/待遇が良くない
条件や待遇が悪く長期間働くことが難しい職場では、離職率が高くなりやすい傾向にあります。
美容師に就職してからギャップに感じる瞬間は具体的にどのような場面があるでしょうか。
- まとまった休みが取れない
- 産休/育休が取りづらい
- 社会保険に加入していない
【まとまった休みが取れない】
美容室の中には年中無休で営業しているところもあり、年間休日は90日以下であることがほとんどです。一般的な企業の年間休日は120日以上なので、休みが取れず疲れが溜まっているスタッフも多くいるでしょう。
人手不足を解消し土日でも休みが取りやすく、有給も消化できる環境を目指すことが大切です。
【産休/育休が取りづらい】
産休/育休の制度は女性の長期的な働きやすさを守るうえで必要不可欠です。
特に美容業界では人手不足が常に発生しているため、離職後も復職しやすい環境作りを心掛けるようにしましょう。
【社会保険に加入していない】
個人経営の店舗では社会保険の加入が義務ではないため、加入していないところも少なくはありません。社会保険は給与の14~15パーセントを事業者側が負担しなくてはならないので、会社にとって利益が無いように感じるでしょう。
しかし、社会保険の加入は求人が集まりやすいというメリットがあります。
社会保険が完備されていることをアピールするとそれに伴って応募数が増え、人手不足の問題を解決できるかもしれません。
6. 体力的にきつい
美容師は基本的に一日中立ち仕事で、普段立っていることに慣れていない人にはきついと感じてしまうかもしれません。
人気の美容室だと一日に10人近く接客することもあり、休憩を取る時間もない人がほとんどです。
帰宅後や休みの日に少しでも自分の時間を作り、体をリフレッシュさせましょう。
7. 独立
スタイリストの中には給与アップや自分に合った働き方を望み、独立や開業のために離職する人も多いでしょう。
また離職の際にそのスタイリストに付いていたお客様も一緒に移ってしまうことが多く、お店の売上が減少してしまいます。
原因がお店側にある場合次々と離職者を出してしまい、定着率を上げることができないのですぐに解決策を打ち出す必要があるでしょう。
離職率を低くする本質的な対策
店舗のビジョンを共有する
離職率を低下させるためには、『MVV』を作成しスタッフと店舗の目標を共有することが大切です。
MVVとはM(Mission)、V(Vision)、V(Value)の3つの頭文字からできた造語で、日本語でそれぞれ使命、理想像、企業価値と訳すことができます。
会社が軌道に乗っている時は気づきづらいですが、大きな壁にぶつかった時にMVVの重要性に気づくでしょう。
また共感できるMVVが設定されていれば採用活動の際に、自社の価値観に合った応募者を集めることができます。
採用後はスタッフの働くイメージが定まっているためギャップを感じることが少なく、早期離職の対策に繋がるでしょう。
雇用条件や労働環境を改善する
先述した通り、雇用条件や労働環境は離職率の変動に直結します。
そのため次の点に留意してスタッフが働きやすい環境を整えていくことが大切です。
- 給料
- 休日
- 労働時間
- 福利厚生
さらに労働協約や就業規則、労使協定を改善して労働環境に関する一定の条件をクリアすることができれば、助成金の審査にも通りやすくなる事も覚えておきましょう。
実際に美容室やサロンなどで利用できる助成金には『両立支援等助成金』があります。
両立支援等助成金は仕事と家庭の両立を支援することを目的に作られました。
下記ではこの助成金の対象者について紹介しましょう。
- 男性が育児休業を取得する際に利用できる『出生時両立支援コース』
- 仕事と育児の両立を支援する『育児休業支援コース』、『育休中等業務代替支援コース』
- 労働者が介護休業を取得する際に利用できる『介護離職防止支援コース』
- 仕事と不妊治療の両立を支援する『不妊治療支援コース』
助成金は返済不要なお金であるため、個人店のような資金が少ないお店はこれを機に提出書類を揃えてみるのもいいかもしれません。
スタッフ間のコミュニケーションを高める
仕事の悩みを気軽に相談できる先輩社員がいないことは離職の原因になりやすいです。
新人スタッフの場合、年齢やキャリアに差がある店長やリーダーに直接質問し、アドバイスをもらうことはハードルが高いと感じてしまうかもしれません。
新人スタッフが一人で悩みこまないためにも、歳や職歴の近い先輩スタッフが付いてサポートする『メンター制度』を取り入れるとよいでしょう。
また全てのメンバーが集まるミーティングやイベントなどを開いて、コミュニケーションを活性化させることも定着率アップに効果的です。
積極的にスタッフの意見を聞く場を作る
新人スタッフが辞めない、定着率の高い美容室を作るためには良好な人間関係を維持しましょう。
スタッフといい関係性を構築するためには意見や考えを積極的に聞く場を作り、その人のアイデアをできる限り聞き入れ、尊重することが大切です。
たとえその意見が通らなかったとしても一生懸命に聞く姿勢を崩さなければ、スタッフからの信頼も厚い、慕われるオーナーとして評価されるでしょう。
スタッフが辞めない美容室にするための具体的な改善策
スタイリストを目指すためには、営業終了後や休みの日に美容室で自主練やレッスンを行います。基本的には自分一人で練習を進め、時々先輩からレクチャーしてもらうという方法が多いです。
しかしその方法だけでは不十分なので育成マニュアルを作成しましょう。
育成マニュアルを導入すると今までよりも格段に効率が上がり、育成にかかる時間やコストも抑えることができるでしょう。
下記ではマニュアル化するメリットについてまとめました。
- 教育コストの削減
- 指導レベルの統一
- 技術水準の統一
- 自分でカリキュラムの進行度を確認可能
また育成マニュアルはアシスタントのほかにもスタイリストの方の教育にも役立ち、どのような技術を身に着ければキャリアアップできるかの指標になります。
2. 柔軟な働き方を実現する
最近、労働環境の見直しや生産性の向上を目的とした『働き方改革』という言葉をよく耳にするのではないでしょうか。
美容師の中にも柔軟な働き方を求める人は多くいるので、労働環境の改善は決して無視できない問題です。
働き方の具体例は下記の通りです。
- 土日どちらかを休みにする
- 勤務時間を短くする
- 1か月に1回は連休を作る
働き方は人それぞれですが、不公平がないように代わりに出勤してくれる人には手当を支給する事も忘れないでください。
3. 女性の働きやすさを重視した職場の事例
売上を上げるために営業時間や日数を増やすという行為はサービス業にはよくある手法です。
しかしターゲットを絞ってその方が来店しやすい時間帯に、営業時間をずらすことができれば給料や労働時間、休日に関する問題を解決できるかもしれません。
上記ではターゲットを絞った戦略で『日曜、祝日休みで年間休日115日』『業界平均よりも5万円高い給与』に成功したマイスタサロンの実例をご紹介します。
マイスタサロンでは美容師の人手不足が悩まれる中、結婚や出産、育児、介護などでライフステージが変化していく女性にとって働きやすい職場を作ることを目指しました。
実際にはターゲットを35歳~44歳までの子育て世代や専業主婦かつ世帯年収600万円以上と想定し、次のような施策を行っています。
求める人材の採用はリジョブを活用
コンバージョンポイントであるため、掲載したいと思わせるような文章作りを意識する。
リジョブは美容系やリラク系、治療師などの求人、転職情報を掲載している業界最大級の求人広告媒体です。
以下ではリジョブの特徴をまとめました。
- 採用コストを抑えられる
- 都心だけではなく地方の求人も掲載されている
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- 新規登録者は月に8000人、総会員数は70万人を超えている。
- SEOに強く、サイトの検索順位が上位なので様々な人から閲覧されやすい。
料金体系は基本的に『システム利用料』+『採用成果報酬』の費用がかかります。
採用が決まったときに支払う『採用成果報酬』は採用難易度の高い役職であれば金額が増える特徴があります。
下記のページではリジョブの掲載料金についてを詳しく解説しているので、併せて参考にしてください。
まとめ
美容師の離職率が高い理由やその改善策について理解することができたでしょうか。
お客様はスタッフ同士のピリピリとした空気を敏感に感じ取ってしまうもので、一度そのような場面に遭遇してしまったら、その美容室には行きたくなくなるかもしれません。
スタッフがすぐやめる美容室=お客様が集まらない美容室です。スタッフが本来の実力を発揮できる環境を整えましょう。
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