サロンスタッフの育成のコツには、一体何があるのでしょうか?
施術技術や接客を含めた質の高いサービスを提供できるスタッフが多ければ、再来店してくれる客数の増加が期待できます。
この記事では、そんなサロンの評価に直結するスタッフの育成について解説していきましょう。
スタッフを育成するメリットや、サロンオーナーが陥りやすい勘違いまでご紹介していきますので、これからのスタッフ育成に役立つはずです。
株式会社CIN GROUPでは、これまで2,000店舗以上の美容サロンの集客/経営サポートを行なってきた実績がありますので、ぜひ参考にしてください。
目次
スタッフ育成が重要な理由
① 利益を伸ばすために必須
サロンはサービス業であるため、施術数が利益を伸ばすために大きく影響してきます。
オーナーの業務には様々なものがあり、1人で経営をする場合は限界があるため、スタッフを育成して複数人体制にしていくことが大切なのです。
スタッフが成長することでオーナーに頼らずとも店舗を回し、利益を伸ばすことができるでしょう。
また急遽オーナーが不在になったとしても、売上を維持・向上できる仕組みが作れます。
信頼できるスタッフのサポートを受け、お互いに協力しながら業務を進めて、サロン運営の力をつけていきましょう。
② 顧客満足度の向上
サロンは美と癒しを提供し、お客様の理想の体や状態に近づける場所です。
そのためには、提供する施術のサービスの質を上げ、お客様に効果を実感していただくことが最も重要となります。
質の高いサービスを提供できるスタッフが増えれば、結果としてリピート率が高まり安定した集客を実現することができます。
サロンスタッフとしての能力は、施術スキルや美容に関する知識だけではなく、説明力や対応力、顧客に与える第一印象も必要なスキルです。
このように必要なスキルは多岐にわたりますので、スタッフが入社してすぐに即戦力になるように、マニュアルを作っておくと良いでしょう。
マニュアルの作成方法は、下記で解説していますので合わせて読んでみてください。
サロンのスタッフ育成の現状
離職率が高い
美容業界は離職率が高く、数年以内に職を離れる早期離職の割合が高いことが特徴です。
厚生労働省のデータによると、1年以内の離職率は約29%、2年以内で44%、3年以内で56%となっており、経験年数が重なるごとに離職率が高くなっていることが分かります。
理由としては、給与や福利厚生への不満、労働時間の長さや職場の人間関係など様々な理由が挙げられるでしょう。
特に美容業界は女性が中心に活躍されており、結婚や出産を機に退職することも多く、慢性的な人手不足に陥っているサロンも多いのです。そのため、大手のサロン以外はスタッフの教育に力を入れることができていないことも珍しくありません。
スタッフの教育をおろそかにしてしまうと、必要な技術や知識、接客サービスが身につかないため、顧客満足度を高めることは難しいでしょう。
店長負担が大きい
サロンスタッフの離職率が高いと、オーナー自身の業務量が多くなるリスクが生じてきます。
具体的なオーナーの業務内容は以下のような項目です。
- サロンの経営、経理
- スタッフの指導、教育
- 商品の発注、在庫管理
- サロン集客
サロンスタッフが不足しているために、オーナー自身の負担が重くなり、売上を伸ばすことが難しくなっています。
つまり、本来は経営戦略を明確にしなければいけない立場の方が、経営について考えることができていないのです。
サロンを成長させるためにも、信頼できるスタッフの育成は重要であるということが言えるでしょう。
閉店リスクが高い
オーナー1人でサロンを経営していると、病気での入院や出産のためにお店を閉じなければいけない場合もあるかもしれません。
実は閉店の多くの理由が、スタッフ不足や育成が間に合っていないことによるものなのです。
スタッフが頻繁に変わってしまうと、サービスの質が下がってしまい、顧客離れを招く可能性も考えられます。
しかしスタッフの育成がしっかりできていれば、閉店しなければならない状況でも事業を継承することが可能です。
サロン経営を長く続けていくためにも、スタッフの育成には注力するべきだと言えるでしょう。
スタッフを育成することで変わること
経営に注力することができる
顧客満足度や経営を安定させるためには、スタッフの定着が大切です。
教育により早いうちから自信をつけられると、スタッフは自分からステップアップを目指してくれるようになり、早期離職の防止にもつながります。
大切なのは技術や知識だけではなく、接客やカウンセリング、ビジネスマナーまで幅広く教育を行っていくことです。
その結果、スタッフ全員が自主的に行動できるようになり、お店の運営を任せられる店長レベルまでの成長が期待できます。
オーナー自身も、安心してスタッフに施術を任せられるようになり、経営戦略や店舗拡大に集中して、サロン成長のスピードアップができるでしょう。
他店舗経営による利益拡大
サロンを多店舗経営するメリットとしては、以下のようなものがあります。
- 認知を拡大できる
- 1つの店舗に依存せずに済む
- 売上、利益を増やすことができる
店舗を増やすことは、施術可能数が増えたり、ブランド力がつき集客面での効果が増大したりと、サロン経営で最も効率よく利益を上げる方法であると言えます。
店舗を増やせば、店長や役職に就ける人材が必要となるため、スタッフを育成してキャリアアップさせなければなりません。
マネジメントスキルを持ったスタッフを育成することは時間と労力がかかりますが、利益拡大のためには重要な取り組みと言えるでしょう。
スタッフ育成における勘違い
即戦力を採用すれば良い
新人教育には時間がかかるため、多忙な現場では即戦力となる人材が欲しいと考えている方も多いかもしれません。
しかし、即戦力となる人材にはデメリットがあるのです。
例えば、すでに他のサロンで培ったノウハウやスキルがあるため、自社とのやり方に相違が生じ、トラブルになる可能性もあります。
また、即戦力の採用はコストが大きくなってしまうため、なかなか採用できないのが現実です。
「就職白書2020」によると、2919年度の新卒採用の平均コストは93.6万円、中途採用では103.3万円であり、中途採用の方が新卒採用よりも高い結果となっています。
一方で、未経験の採用であれば、自社の運営方針や施術方法に対する理解がスムーズであり、時間やコストの面で効率が良いです。
そのため、即戦力の採用よりも、未経験からでもしっかりと育成していく技術を重視するべきだと言えるでしょう。
現場に出なければいけない
サロンを運営するには、オーナーがいつもサロンにいなければいけないと考えている人も多いのではないでしょうか。
経営や資金操り、集客などオーナーが行う業務も多く、不在であればスタッフが戸惑い、上手く店舗を回せないのではという不安が生じてしまうかもしれません。
ここで間違えてはいけないのが、スタッフ育成の完成系は、自分がいなくてもサロンを回せることです。
オーナーの采配で、信頼できるスタッフがそれぞれのオーナーの業務を担えれば、オーナー不在でもサロン経営の安定感が増します。
スタッフ一人一人が責任を持って、自主的に運営に携われるサロンを目指していきましょう。
とりあえず業務委託を採用する
業務委託は直接雇用ではないため、毎月固定の人件費や社会保険料を節約できることがメリットです。
戦略的に業務委託の方を増やすのは問題ありませんが、懸念点として帰属意識が低い方が多いことが挙げられます。
もしスタッフ全員が『ここのサロンで働きたい』『お客様が満足できるサロンを目指したい』といった気持ちを持つことができなければ、顧客満足度が高まり売上アップを見込むことは難しいでしょう。
スタッフの育成に力を入れることで、向上心が身につき、サロン運営やサービス提供に貢献してくれる人材が増えていきます。
ただ目の前の業務をこなすだけではなく、サロンに愛着を持ったスタッフを丁寧に育成することも意識していきましょう。
スタッフ育成のポイント
経営理念に共感してもらえる人材を採用する
給料以外でも働くモチベーションを保つためには、サロンの経営方針に共感してくれるスタッフを採用することが大切です。
経営理念に共感してくれると、自発的な行動ができるスタッフに成長しやすくなることがメリットになります。
採用後は、『お客様の笑顔を大切にする』『スタッフ一人一人が輝けるサロンを目指す』などといった経営理念を共有して、具体的なアクションプランを考えていきましょう。
目標がないとフィードバックができず、採用後のモチベーションが下がりやすくなってしまう可能性があるので、注意が必要です。
また目標を立てることで、反省点を次に生かすきっかけが生まれ、一人前のスタッフとして育ちやすくなるので、経営理念の共有は忘れず行っていきましょう。
技術だけでなくマネジメント能力もみる
スタッフ採用の面接の際には、技術力だけではなくお店を任せられる人かどうかの素質もチェックしていくことが大切です。
マネジメントの業務例は以下のような内容です。
- スタッフの育成(技術・知識・接客指導)
- 働きやすい環境の構築
- サロンの売上管理
- スタッフの目標設定、評価
主にサロンの経営戦略やスタッフの育成、モチベーション維持をすることがマネジメントと言えるでしょう。
美容業界は個人経営や小規模サロンが多いため、マネジメントの重要性を理解していない方も多いですが、利益を大きくするために必要不可欠な力なのです。
もちろん、採用後にマネジメントについての指導を行う前提ではありますが、売上管理などの数字以外の面でもポテンシャルがあるかどうかの判断はしていきましょう。
自主性をつけさせる
分からないことを聞くことはもちろん大切ですが、考えずに聞けば何とかなるという姿勢では、柔軟性や臨機応変に対応できる力が欠けてしまうかもしれません。
質問する前に「なぜ、どうして」のような、根拠を考える癖を身につけることで、スタッフの自主性を高めることができます。
スタッフが主体的にサロン業務に取り組むことができれば、オーナーが手取り足取り教えなくても、スムーズに業務を進めることができるはずです。
スタッフ間のコミュニケーションを大切にする
スタッフが増えてきた段階で従業員間での衝突が発生してしまい、頭を悩ませているオーナーも多いようです。
性格的に相性が合う、合わないは少なからずあることでしょう。
しかし、スタッフ同士が上手にコミュニケーションをとることができれば、お客様にもより良いサービスを提供して満足していただけるようになります。
コミュニケーションを大切にすることは、スタッフ満足と顧客満足の両方を向上させていくためにも大切な取り組みなのです。
スタッフ同士で応援しあえるなど、切磋琢磨できる環境づくりをぜひ積極的に行っていきましょう。
新しいスキルを身につけられる環境を提供する
同じサロンのスタッフ同士で採用者の育成を行うのは、新しいことを学ぶ機会が少ないという欠点があります。
また日々の業務に追われ、人手不足が加わると十分に育成が行えないこともあるかもしれません。
そしてスタッフ側も、毎日同じような業務を繰り返すだけでは、モチベーションの低下につながってしまうこともあるでしょう。
そんなときは、講習会や勉強会などの機会を作ったり、外部のセミナーに参加することをおすすめします。
自社にはない視点での学びや知識を得ることができ、既存のスタッフにとっても新しい発見のきっかけになるはずです。
お客様の夢を叶える仕事であることを伝える
サロンの仕事は、人とのコミュニケーションで成り立っています。
誰にでも同じ作業を提供するのではなく、お客様に応じた気配りの感じられるサービスを実現することが重要なのです。
そのため、「誰に何のために行うサービスなのか」をスタッフに問いかけ、自分のためではなくお客様の夢をかなえる仕事であるということを日頃から伝えていきましょう。
お客様のためにできることを実行し、お客様からの感謝の声をスタッフに届けるような仕組みを取り入れることで、仕事に対するやりがいを感じてくれるはずです。
働きやすい職場環境整える
働きやすい職場環境を整えることで、以下のようなメリットがあります。
- モチベーション向上
- 技術や接客の質が向上
- 離職率の低下
スタッフが働きやすい職場環境として、就労規則がしっかり定まっていることが挙げられます。
サロンは予定外の残業になってしまうことが多く、残業代が出ないサロンも少なくないため、離職につながってしまうケースもあるのです。
給料や福利厚生はもちろん、休暇の取りやすさや研修制度についても、就労規則をきちんと定めて守っていくことは離職率の低下につながります。
スタッフが生き生きと働ける環境づくりを、ぜひ積極的にアピールしていきましょう。
行動指針やマニュアルを整備する
マニュアルを作成することで、以下のようなメリットがあります。
- スタッフの技術や対応を一定の基準に揃えることができる
- 新しいスタッフが入ってきたとしても何をしたらいいのか迷わなくなる
- クレームなどの対応をしなければならない時に焦らず冷静に対応ができる
ここからはマニュアルを作成する際のポイントを、2点お伝えしたいと思います。
1つ目は、技術力や接客、売上目標に対して、何ヶ月でどのくらいのレベルを目指すのかを明確にしていくことです。
目標を立てる際には、5W1Hを活用して具体的にするべきことを考えていきましょう。
・How(どのように)
・When(いつ)
・Who(誰が)
・Why(なぜ)
・Where(どこで)
その中でも、クレームやトラブル対応は非常にデリケートな問題であり、何も分からずに対応してしまうと、お客様を不快な思いにさせてしまう可能性があります。
クレームやトラブルに関するマニュアルは非常に重要なので、サロンの対応方針をしっかり明記しておきましょう。上の3つが教える側の重要な役割であり、丁寧に行うことで学ぶ側のモチベーション向上につなげることができます。
マニュアルが作成できたら、実際に接客対応のロールプレイングなどを行ってみます。
ロールプレイングでのポイントは主に3点です。
- 手本を見せる
- 達成度を見る
- 宿題や改善点を提示する
定期的にオーナーや上司と振り返りを行っていきましょう。
ただ数字を振り返るのではなく、スタッフの『成長した部分』を褒めてあげることがポイントです。
イメージとしては『足りない部分』を50%『成長した部分』を50%の割合で伝えることを意識すると、成果が高まります。
マニュアルを作成する際のポイント2つ目は、どのレベルに達すればどのくらいの給料になるかを明確にすることです。
何をできるようになるとランクアップできるかが具体化されていることで、スタッフの努力の方向性が定まり、身に付けるべきことか明らかとなります。
従事する方の多くは技術職ですので、何となく評価されるよりも、基準を満たせば評価される方が受け入れやすく、主体的な努力を引き出すことができるでしょう。
まとめ
今回は、サロンスタッフ育成のポイントについて解説してきました。
スタッフ育成は、採用者だけではなく指導者にとっても自分を振り返る機会となり、サロン全体の成長に直結します。
業務が多忙で、スタッフ育成を十分に準備できない場合は、外部のセミナーやマニュアル作成などを行って工夫していくことが大切です。
今一度スタッフの育成方法を見直して、目指すスタッフの理想像の実現に向けて、成長をサポートしていきましょう。
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