鍼灸師として働いている方や、資格取得を目指している方などは、将来的に独立を検討されている方も多いでしょう。
実際に開業を夢見ている方も多いですが、費用の工面や経営の知識がないことを不安に抱えている方も多いです。
この記事では、開業を実現するために準備しておくべきことや、費用の工面方法など、鍼灸院を開業するまでの手順について解説します。
弊社では、鍼灸院を含めてこれまで約3,000店舗以上の美容サロンの経営/集客サポートを行ってきた実績がありますので、ぜひ参考にしてください。
目次
鍼灸院を開業するために必要なもの
国家資格
まず、鍼灸院の開業で必要なものは、鍼灸師の国家資格を保有していることです。
まだ、鍼灸師の資格を持っていない、これから取得を検討しているという方は、まず鍼灸師の勉強から始めましょう。
すでに国家資格を保有している方で、施術者として働いている方は、開業するまでの流れを理解しておくことで実現までのイメージを掴んでおくことが大切です。
開業資金の調達だけでなく、集客方法を理解しておくことも安定した経営のポイントとなりますので、開業したらどのように集客するのか?を日頃から意識しましょう。
開業資金
まず、結論から言ってしまうと、鍼灸院の開業の際にかかる費用は、300〜1,000万円と幅広いです。
これは、開業するエリアや開業方法によって相場は大きく異なることが理由として挙げられます。
東京や大阪のような都市圏で開業する場合であったり、自宅を鍼灸院として改装して経営する場合などによってかかる費用は変わってしまいます。
- 店舗の賃料
- 内装工事
- 器具や設備
- 水道光熱費、通信費
- 宣伝広告費
上記のようなものが費用として発生します。
特に店舗を借りる場合は、保証料や手数料を加えると家賃12ヶ月分が初期費用の相場です。
さらに、鍼灸院を開業する場合、施術スペースや仕切りなどの制約を守らなければいけないため、内装工事が必須となるでしょう。
自分の店舗を持つこだわりも反映するとなると相当の金額が必要となります。
また、多くのお客様に来てもらうためには、ホームページの制作やクーポンサイトへの掲載は必須です。
鍼灸院の開業方法
この項目では、鍼灸院を開業するまでのおおまかな流れについて解説します。
資金の確保
自分で独立したいと思ったら、開業資金を貯めるところから始めてみましょう。
開業資金の全額を自己資金でまかなう必要はなく、国庫や銀行からの融資を得て開業することが一般的です。
自己資金が全くない状態では融資を受けることは難しいので、3〜5割程度を貯めていくことを目標にしてください。
ある程度自己資金を貯めることができたら、具体的に国庫や銀行からの融資を検討しましょう。
弊社でも、融資の相談を承っておりますので、お気軽にお問合せください。
鍼灸院の開業には補助金を利用できる
鍼灸院を開業する際に利用できる補助金の代表例は『小規模事業者持続化補助金』や『IT導入補助金』が挙げられます。助成金ならば『キャリアアップ助成金』や東京都の『創業助成金』などでしょうか。
補助金・・・条件に合っていれば申請可能だが、審査に通らなければ受給できない。
助成金・・・条件に合えば必ず支給が受けられる。
補助金と助成金は上記のような違いがあります。
基本的に助成金は従業員の労働環境や待遇の改善などが求められるため、開業時に活用できるのはほとんどありません。
そのため、開業時に使用できるものは補助金であることを覚えておくと良いでしょう。
実務経験を積む
前の項目で鍼灸院を開業するためには、鍼灸師の資格が必要であることを説明しました。資格に加えて地域を管轄する厚生局に『施術管理者』の提出をしなくてはなりません。
届出をするための条件は下記の通りです。
- 1年間の実務経験
- 2日間(16時間)の講義
以前までは資格さえあれば実務経験は必要とされていませんでしたが、療養費の不正請求が問題視されたこともあり、条件が引き締められました。
専門的な業界であるため、実務経験がない状態で開業したいと思う方は少ないと思いますが、早期独立を検討している場合は頭に入れておくと良いでしょう。
施術管理者の申出の届出
以前までは鍼灸師の国家資格を保有しているだけで開業できていましたが、現在は開業するエリアを管轄する厚生局に『施術管理者の申出』の届出をしなければいけません。
1年間の実務経験の他に、施術管理者研修の受講が必要です。
開業場所の確定
開業資金を貯めたり、融資を受けられる状態になり、施術管理者の申出の届出を提出したら、開業場所を決めましょう。
開業を決める時は、大きく分けると下記の2つの方法が一般的です。
- 店舗を借りる
- 自宅で開業する
鍼灸院のような治療院を開業する場合は、自宅を改装して開業する方も多いです。
しかし、店舗を借りての営業を検討している方は、開業エリアによって大きく集客に影響してしまうことは忘れてはいけません。
駅の近くにするのか?住宅街の近くにするのか?などは、顧客のニーズを理解し、集客を見込める場所を選ぶことが大切です。
内装工事/設備の設置
開業場所が決まったら、鍼灸院の開業条件に見合った、施術スペースの確保、消毒設備、パーテーション(仕切り)の設置などが必要になります。
内装工事が完了し、開業する前には保健所の確認が必要となるので、規定に合わせて工事を行うことが大切です。
内装工事業者を選ぶ時には、鍼灸院や整骨院の内装を行ったことがある業者に依頼するのがおすすめ。
弊社では、関東や関西など都市圏エリアで、治療院の内装工事に強い業者の紹介も可能ですので、お気軽にお問合せください。
開業届/青色申告の提出
開業できる段階になったら、管轄の税務署に開業届を提出しましょう。
事業を開始してから1ヶ月以内に提出することが推奨されています。
提出しないことによる罰則などはありませんが、公的な支援や税金の軽減措置なども受けることができなくなってしまうため必ず提出しましょう。
特に、個人事業主は青色申告をすることで控除額が大きくなり、最終的に支払う税金が少なくなる制度があります。
集客対策と広告制限についての理解
鍼灸院は『あはき法』によって広告に掲載できる内容が制限されています。
そのため、美容サロンのように積極的に広告を出す集客対策が難しいのが現状です。
とはいえ全く集客対策をしなければ、お客様を増やすことはできないので、戦略的に集客対策を行いましょう。
下記記事では、鍼灸院の集客対策やマーケティングについて解説しているので、併せて参考にしてください。
鍼灸院を自宅開業する際の注意点
規定を満たしている
鍼灸院のような国家資格が必要となる治療院は、専用の施術室の条件があります。
- 施術室は6.6平方メートル以上にする
- 待合室は3.3平方メートル以上にする
- 施術スペースはパーテーションで区切る
- 出入り口は固定扉にする
- 施術室面積の1/7以上は空気の入れ替えができるようにする
- 消毒設備を用意する
上記のような条件がありますので、各地域が管轄する保健所のホームページを確認するか、電話で問い合わせしてから内装工事を行いましょう。
間取りを意識する
施術室の間取りは、場合によっては肌が見えるような施術も多いため、患者間のプライバシーを守ることを意識しなければなりません。
施術部屋は完全個室とまではいかないものの上下左右にパーテーションを用意するなどして、半個室状態にすると良いでしょう。
鍼灸院は患者さんによって対応の時間が変化するため、待合室には雑誌や漫画を置いておくと満足度も高くなります。その他にも施術者の目線に立ち、動きやすさや器具の整理のしやすさを意識した間取りにすることも大切です。
ターゲットを明確にする
最近では、鍼灸院も保険適応の施術だけでなく、保険適用外のリラックス目的のメニューを提供する場所も増えてきました。
収益源を増やすためには、どのような方に何のために、そのメニューを選んでもらうのかを明確にしなければなりません。特に美容鍼などは、顔のむくみやたるみに悩んでいる人に向けて痩身系が人気です。
このように、美容目的の方をターゲットにして明確に対策をすることで、自由診療でも収益を増やすことができるでしょう。
技術を磨く
鍼灸師はAIに仕事を奪われにくい職業であるため、自身の技術力を磨いていること、周りと差別化した訴求を行うことができます。
新しい技術が出たら積極的に知識装着、実践を繰り返して技術を身につけていきましょう。
具体的には鍼灸師として活躍されている方のセミナーに参加してみたり、評判の良い鍼灸院に行ってみることも効果的です。
まとめ
鍼灸院の開業は、国家資格に加えて1年間の実務経験が必要とされます。
鍼灸師の施術者として働いている方のほとんどは、すでに開業できる条件のため、しっかりと準備していれば開業は決して難しいことではありません。
しかし、安定して経営を行ったり、売上を伸ばしていくためには集客対策が必要です。
広告制限が厳しい鍼灸院ではありますが、ホームページの制作やクーポンサイトの掲載を活用して戦略的に集客をしましょう。
弊社では2023年7月に発表された、あはき業態向けのホットペッパービューティーの新サービスである『あはき柔整プラン』のご案内も行なっておりますので、お気軽にご相談ください。
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