整骨院や接骨院、そして鍼灸院といった治療院でも多くの患者(お客様)を集めなければ、安定した利益を出すことは難しくなっています。
2018年にはマッサージ事業者(整骨院/接骨院/鍼灸院/整体/マッサージ院)の倒産が93件となり、過去10年で最高というデータも。
競争が激化する中で生き残るためには、どのように集客していけば良いのでしょうか?
この記事では、治療院経営を成功させるための集客方法について解説しますので、ぜひ参考にしてください。
参考:実はコンビニより多い「接骨院」増えすぎて競争激化、倒産が過去10年で最多に | ITメディア
目次
治療院が抱える集客の問題
治療院を経営する方の中で、想定以上に集客できないことに悩みを抱えている方が多いです。
この項目では、実際に治療院が抱える問題について解説します。
集客できる人口が少ない
治療院の特徴として挙げられるのは、地域の方に継続的に来院してもらえる環境が整っていることです。
特に昔から地域に根付いている治療院ならば、来院されるほとんどの方が保険適応の施術を受ける高齢者の方でしょう。
しかし、これから独立を考えている鍼灸院の立場からすると、より厳しくなる一方であることを忘れてはいけません。
高齢者の方はすでに通う治療院は決まっていて、事情が変わらない限り新しい治療院には行かないのです。さらに、若い方や、今後常連となるであろう中年代付近の方の人口は減りつつあります。
治療院が増えているのに、集客できる人の数が少ないことが治療院業界の大きな特徴です。
広告の制限が多い
冒頭にも記載していますが、治療院は整骨院や接骨院、鍼灸院をまとめた表現です。
これらの業態の特徴として、国家資格を有した人が保険適応の施術を提供していることが挙げられます。
これらの業種は『あはき法』によって広告の制限が厳しく、美容サロンのような集客対策を実施できないことが大きな課題です。
あはき法は施術を受ける方の健康を守り、不利益を被らないことを目的とされています。
1947年に作られた古い法律のため、インターネット上の広告規制については、現在でも度々議論されています。
ただ、現状ではホームページでの掲載は広告として当てはまらないとされているため、ホームページ制作での集客が一般的です。
あはき法が適用される業種の方は、下記記事を併せてご覧ください。
競合店舗が多い
治療院の競合は、整骨院や接骨院、鍼灸院だけではありません。国家資格を有していなくても整体院やもみほぐしなどのリラクゼーションなども競合になります。
なぜならば、最近の治療院の集客数を増やす方法のひとつとして、保険適応がされないリラクゼーションメニューを取り扱うことで新規客を増やしているところが多いからです。
リラクゼーションメニューならば広告を出すことができますし、保険適応の施術も可能であることから、お客様が怪我をした際に患者として来院するための動線となります。
このように競争の激化によって、コンビニよりも多いと言われる治療院の中から選ばれるための対策が必要なのです。
集客の仕組みを理解していない
そして、集客できないと悩んでいる経営者の多くが、集客の仕組みを理解していないことが最も大きな原因です。
- どのように鍼灸院の存在を知るのか
- どのような目的を持って鍼灸院を探しているのか
- 興味を持っていることはどのようなことなのか
- どのような理由があって予約(来院)するのか
上記の項目をすぐに回答できる方はどのくらいいらっしゃるでしょうか?
意外なことにそこまで多くないはずですし、経営者目線とお客様目線では大きく印象が異なる場合が多いです。
「とにかくたくさんの方に来院してほしい。」という気持ちはわかりますが、お客様がどのように治療院を選んでいるのか、求めていることは何かをしっかりと理解した上で集客対策を行いましょう。
そして、お客様が求めることに対して、治療院側はどのようなメリットを提供することができるかを考えて対策することが大切です。
治療院が集客対策をする前に考えておくべきこと
実際に、集客対策を行うだけでは一向にお客様の数は増えません。
広告を出したり、ホームページ制作に着手する前に下記のことを考えておくことで、どのような集客方法が良いのかを明確にすることができます。
- ニーズの理解
- 店舗の理解
- ターゲットの理解
それぞれの項目について詳しく解説します。
お客(患者)のニーズや考えていることを理解する
治療院を探す人はかつて「家から近いから。」、「知り合いに勧められたから。」などの理由で選ぶ方が多かったです。
現在でもこの傾向は強いものの、情報化社会になった今では、事前にインターネット上で情報を探してから予約をする方が増えています。
腰痛に悩んでいる方ならば腰痛治療に強い治療院を、体の歪みに悩んでいる方は骨盤矯正に強い治療院…というように、患者ごとに悩みは異なり、解決してくれそうな治療院を徹底的に調べられる時代になりました。
さらには、事前に院長やスタッフの接客態度なども口コミで確認されるため「近所にあるから。」という理由だけでは選ばれない時代となっているのです。
そのため、患者がどのようなことを求めているのかを理解してから、集客対策を行うことが選ばれるための第一歩となります。
店舗のコンセプト/ウリ/強みを明確にする
店舗のコンセプトを明確にして、ウリや強みをアピールすることが集客において大切です。
治療院と言っても、腰痛対策/肩こり/鍼治療/骨盤矯正などウリにしている施術は違います。
先述しているように、最近では治療院も保険適応の施術だけでなく、美容や健康をウリにしているところが集客に成功しているのです。
具体例を挙げると、怪我の悩みではなく「もっと綺麗になりたい!」という要望を持った方に向けて肌のたるみやしわを改善する美容針などでしょうか。
悩みを抱えている方に対して、自信を持ってアピールできる強みを持っていれば、ぐっと集客は楽になります。
ターゲットを絞る
とにかく集客したいと焦っている方に多いのは、ターゲットを明確にせず、誰に向けたメッセージなのかを上手く伝えられていないケースです。
整骨院や接骨院を経営している場合、肩こりや腰痛対策はほとんどの店舗でやっています。
しかし、メニューとして打ち出す際には、より具体的な顧客像をイメージしてみましょう。
例えば、腰痛対策ならば『腰痛に悩んでいる方におすすめ』よりも『在宅ワークによる長時間の座りすぎで腰痛にお悩みの方向け』など、より具体性を持たせるような手法です。
ターゲットを絞ると、それを目的としていない方は集客できないのでは?と思う方も多いのですが、不思議なことに驚くほど集客できるようになります。
前に述べているように、最近では取得できる情報が増えていることもあり、自分の悩みを解決してくれる場所を徹底的に探している方が多いです。
そのような方は、強い悩みを持っていたり期待値が高いため、しっかりと解決策を提示することができれば、リピートしてくれる可能性が非常に高くなります。
ターゲットを絞ることで、来店してほしい客層を獲得することができることから、将来的に大きな利益となる方の獲得に繋がるでしょう。
近年の集客対策のトレンドはWEB集客
集客する前の考え方を説明したところで、この項目では最近の集客対策のトレンドについて簡単にお伝えします。
治療院のような業態では、これまでチラシや地元の情報誌の掲載によるオフラインでの集客が一般的でした。
最近でも開業直後やリニューアルした後などは、地元の方に認知してもらうために効果的な方法ではありますが、もっぱらWEB(インターネット)による集客が広まっています。
WEB集客は、詳細なデータを視覚化することができるメリットがあり、どのように改善すれば効果が出るのか、どれくらいの費用対効果があるのかなどを確認できることが特徴です。
特に、開業したばかりの方はどうしても、20〜50代の方がターゲットとなるため、スマートフォンに親しみのある世代はWEB集客を活用しましょう。
治療院に効果的な集客方法
それでは、集客の考え方やWEB集客について説明したので、この項目では具体的な集客方法について解説します。
- ホームページ制作(SEO対策)
- SNS運用
- 動画運用
- GoogleMAP対策(MEO対策)
- クーポンサイトの活用
それぞれの集客方法について、最後に特徴をまとめた表も作成しているので、ぜひ参考にしてください。
ホームページ制作(SEO対策)
【目的/特徴】ブランディングに最適、資産性が高い
【コスト】◎
【効果】◯
【スキル/手間】△
ホームページは、店舗運営の信頼獲得やブランディング効果が高く、資産性が高いことが特徴です。
戦略的にブログ記事を定期的に掲載すれば、GoogleやYahoo!検索で上位に表示される可能性も高まり予約数UPにも繋がります。
ただし、質の高いホームページを作成するには、知識や手間、コストがかかってしまうことがデメリットです。
また、情報更新やSEO対策の知識を持っていないと、集客に活かしきれないこともあるので注意が必要です。
ホームページの制作から管理まで外注する場合には、コストが大きくなってしまうため、ある程度は自己管理できるくらいの知識は身につけておくことをおすすめします。
SNS運用
【目的/特徴】若い方の集客に最適
【効果】◯
【コスト】◎
【スキル/手間】◯
SNS運用は若い方をターゲットにしている場合に有効な方法です。
ホームページ代わりに活用する店舗も増えていますし、写真や短い動画を活用することで視覚的に訴求できるという特徴があります。
定期的に情報を投稿することでフォロワーが増え、拡散性や話題性もUP。SNS上でそのままメッセージのやりとりができますし、キャンペーンの時にはダイレクトメッセージの送信によって来店を促進することも可能です。
若い方をターゲットにしている鍼灸院の方は積極的に活用しましょう。
動画運用
【目的/特徴】継続して対策した時の効果が大きい、イメージしてもらいやすい
【効果】◎
【コスト】△
【スキル/手間】△
Youtubeの動画コンテンツを増やすことも、効果の高い集客方法として注目されています。
写真よりも詳細に視覚情報を伝えることで、施術の変化や雰囲気を感じてもらえることが特徴です。
編集技術や撮影の手間が大幅にかかるデメリットがありますが、大きな集客効果を得られるので技術がある方はぜひ挑戦してみましょう。
GoogleMAP対策(MEO対策)
【目的/特徴】周辺住民の集客、即効性が高い
【効果】◯
【コスト】◎
【スキル/手間】◎
最近ではGoogleMap検索から予約に結びつくケースが多いです。
- 自宅から近い鍼灸院を探している
- 口コミを参考にしたい
- 店舗情報を確認したい
GoogleMapではこれらの情報をすぐに検索できるため、検索結果に表示させる対策をしっかりと行いましょう。
これはMEO対策と呼ばれますが、ホームページの上位表示(SEO対策)よりもあまり手間をかけずに短期間で対策することが可能です。
Googleビジネスプロフィールの設定を行い、口コミが投稿されることで上位表示の可能性は高まります。
開業直後に必須で設定しておくべきなので、まだ対策をしていない方は早急に対応しましょう。
また、口コミの数が多く評価が高いほど予約率が上がるため、顧客満足度の向上を意識することと、来店してくれた方には口コミ掲載の依頼をすることが大切です。
参考記事:MEOとは?SEOとの違いを知って効果的な地域集客戦略を立てよう
クーポンサイトの活用
【目的/特徴】担当者に相談できる、予約機能を利用できる
【効果】◎
【コスト】◯
【スキル/手間】◎
クーポンサイトは媒体の集客力を活かして、比較的早期に顧客獲得できる広告方法です。
月額料金や一件の予約に応じて支払う成果報酬制など、媒体によってかかるコストは変わります。
集客や経営サポートなどのコンサルティングを行なうホットペッパービューティーなどが有名です。
しかし、あはき法に該当する鍼灸院の場合は、クーポンサイトに掲載できないこともあるので、お問い合わせをして確認してみましょう。
目的/特徴/コスト別の集客方法まとめ
集客方法 | コスト | 効果 | スキル/手間 |
---|---|---|---|
ホームページ制作 | ◎ | ◯ | △ |
SNS運用 | ◯ | ◎ | ◯ |
動画運用 | ◎ | △ | △ |
GoogleMAP対策(MEO対策) | ◯ | ◎ | ◎ |
まとめ
この記事では、治療院の集客の考え方や具体的な集客方法について解説しました。
競合が多いだけでなく、広告制限が厳しいため集客が難しい業界ではありますが、ターゲットを明確にして、お客(患者)に強みをアピールすることができれば来院者数は必ず増えます。
集客対策の前に戦略を立て、どのように集客することが最も効果的なのかを判断してから、最適な集客方法を選ぶことが大切です。
弊社では2023年7月に発表された、あはき業態向けのホットペッパービューティーの新サービスである『あはき柔整プラン』のご案内も行なっておりますので、お気軽にご相談ください。
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