柔道整復師として活躍されている方の中には、将来的に自分の治療院を持ちたいという方も多いでしょう。
実際に、施術者として数年間の経験を積んだ後に独立をする方は非常に多いです。
開業前の段取りは早いうちから知っておくと「開業したい!」と思った時に、すぐに動けるように事前に準備しておきましょう。
この記事では、柔道整復師の資格以外に必要な条件、開業にかかる資金と調達方法、開業前の準備の流れについて解説します。
CIN GROUPでは、整骨院や接骨院を含めて約2,000店舗の美容サロンの集客/経営サポートを行なってきた実績がありますので、是非参考にしてください。
目次
整骨院/接骨院の開業は儲からない?
整骨院や接骨院の開業を検討されている方の中には、本当に儲かるのか?と不安の方も多いのではないでしょうか?
儲けるのかできるかは、経営者の手腕以外に業界の需要と供給のバランスが大きく関わってきます。
- 若者から高齢者まで健康志向になっている
- 保険適応以外のメニューのニーズが高まっている
- 柔道整復師や施術所の数が増えている
治療院業界のトレンドをまとめると、引き続き需要はありますが、施術者数が増えていることもあり、供給量が上回っている状況と言えます。
また、保険治療のみの場合、顧客単価が低いままであるため、儲けるためには自由診療メニューを取り入れ、競合に負けない店舗づくりが重要だと言えるでしょう。
開業した場合の年収
開業を検討している方の中には、独立したら年収はどのくらい上がるの?と気になっている方も多いかと思います。
施術者として働く場合と、開業したした場合の経営者の年収はどのくらい違うのでしょうか?
施術者の場合の平均年収
専門学校や大学で柔道整復師の資格を取得し、柔道整復師として勤務した場合の初任給は、額面で22〜24万円であることが多く、年収は300万円前後でしょう。
働く場所によってボーナスや昇給の幅はありますが、平均年収でも350〜450万円あたりがデータとしてはボリュームゾーンのようです。
近年の柔道整復師の働き方も多様化しており、接骨院や整骨院だけでなく、病院の整形外科や介護施設、スポーツ施設などで働く方も多くなっています。
開業してからの平均年収
開業してからの平均年収は、データで公開されてはいませんが、集客できている治療院の場合は1,000万円を超える人も珍しくはありません。
しかし、実際には開業してからすぐには固定客も少ないですし、十分に認知されていないこともあり、半年間は赤字を覚悟する必要もあるでしょう。
開業してから1〜3年の間で、集客できる店舗作りを行うことが年収を上げる大きなポイントです。
整骨院/接骨院の開業に必要な資格/条件は?
読者の方は柔道整復師の国家資格を持っているか、これから専門学校などで勉強して構成記事を目指している方でしょう。
この項目では2023年時点で、整骨院を開業する際に必要な資格や条件について解説します。
必要な国家資格
まず、整骨院や接骨院を開業するためには、柔道整復師の免許(国家資格)が必須となります。
まだ柔道整復師の資格を持っていない方は、文部科学省が指定する4年制大学、あるいは都道府県知事の指定する専門学校に3年以上通った上で、試験に合格することで取得が可能です。
柔道整復師と整体師は同じだと思われる方もいらっしゃいますが、柔道整復師は国家資格、整体師は民間資格となっています。
そのため、柔道整復師の方が整体院を開業することはできますが、整体師の資格しか持っていない方が整骨院や接骨院を開業することはできません。
施術管理者要件の確認
以前までは、柔道整復師の資格さえ持っていれば開業することができていましたが、2023年現在では、柔道整復施術療養費の受領委任の取扱いを管理する『施術管理者』になるための要件があります。
2018年(平成30年)の4月から資格取得後の実務経験、及び2日間の施術管理者研修の受講が義務付けられました。
そのため、受領委任を届け出る際には、従来の届出書類に加えて実務経験期間証明書の写しと施術管理者研修修了の添付が必要です。
また、届出タイミングによって、必要となる実務経験期間の条件が異なるため注意しましょう。
- 【2018年4月〜2022年3月】1年間の実務経験
- 【2022年4月〜2024年3月】2年間の実務経験
- 【2024年4月以降】3年間の実務経験
施術管理者研修は、土日及び祝日を使用し連続した2日間で合計16時間となり、費用は2万円です。
2023年現在は、基本的にオンラインでの開催となっているため、比較的参加しやすいでしょう。
オンラインでの受講が厳しい場合は、東京や大阪で会場が準備されている場合もありますので、下記の参考ページをご確認ください。
整骨院/接骨院の開業にかかる費用
開業にかかる費用は、開業する場所や方法、規模によって大きく異なるため、一言で〇〇円と伝えることはできません。
しかし、一般的には300〜1,000万円が相場と言われていますが、あくまで目安として考えておきましょう。
開業資金を考える時には、初期費用だけでなく運転資金も考慮しなければいけません。
初期費用
初期費用は、開業するためにかかる費用で、下記のようなことにコストがかかります。
- 店舗の賃料/手数料
- 内外装工事
- 機器/備品等
- 宣伝広告費
店舗を借りての運営をする際には、手数料や保証料を合わせると6〜12ヶ月分の家賃が初期費用として必要になるケースが多いです。
整骨院や接骨院は、1人あたりの施術スペースに決まりがあったり、仕切りを用意しなければいけないため広めの物件を探さなければいけません。
内装工事をする際には、整骨院や接骨院は『構造設備基準』を守らなければいけないため、事前にホームページや電話で確認しましょう。
- 施術室:6.6平方メートル以上の専用スペース
- 待合室:3.3平方メートル以上の待合室
- 器具や手指消毒の設備
- 施術室と待合室の区切り | カーテンなど
- 消化用の設備など
実際に店舗の場所を決めたり、内装工事に取り掛かる前には、図面を保健所に確認してもらうことも可能です。
運転資金
初期費用の他には、毎月かかる固定費や変動費が含まれます。
- 家賃
- 人件費
- 通信費
- 消耗品費
- 水道光熱費
- 予備費
開業時には、運転資金を6〜12ヶ月分を用意しておくのが安心だと言われています。集客に強いエリアや1人で経営する場合でも半年分は準備しておきましょう。
運転資金を用意しておかなければ、開業してから集客できないと閉店のリスクが高くなってしまいます。
今や整骨院や接骨院などの治療院はコンビニの数よりも多いと言われていますし、開業してから1年以内での閉店は3割というデータも…。
競合が多い業界の中で生き残ることができるように、初期費用だけでなく運転資金のことも考慮して資金を集めましょう。
自己資金ゼロでも大丈夫?資金調達方法
まず始めに「自己資金ゼロでも開業できる?」と思われる方も多いですが、初期費用が少ない状況以外では非常に厳しいでしょう。
仮に初期費用と運転資金で1,000万円を用意しなければならず、融資を受ける時のことをイメージしてみてください。
■ 自己資金 なし
■ 自己資金 300万円
自己資金がないと「これから開業をするのにお金の管理ができないのでは?」というイメージを融資担当者に与える可能性もあります。
自己資金ゼロで開業できるとアピールしているところは金利や手数料が高いといった条件の場合がほとんどです。
全く資金がない人は、少しずつお金を貯めるところから始めましょう。
貯金
まず、将来的に開業をしたいと少しでも思っている方は、開業に向けて少しずつ貯金しておくことが大切です。
22歳で柔道整復師として働き始めたとして、5年後の開業を目標として、自己資金300万円を貯めるならば毎月5万円となります。
全額を自己資金で準備する必要はないものの、しっかりと貯めておくことで理想的な店舗作りができたり、予定よりも早く開業できるかもしれません。
国/銀行の融資
自己資金で開業資金が足りない場合は、国や銀行からの融資を検討しましょう。
国や銀行に融資の申請をすれば、簡単にもらえるというわけではありません。
最低でも3割の自己資金を用意しておくことはもちろん、どのように経営していくのか利益を出していくのかを記した創業計画書の準備が必要です。
ごく稀に融資を受ける際に自己資金を多く見せるために、通帳に面談直前に多額の入金があるとみせかけのものと思われる可能性があります。
自己資金は開業のためにコツコツと準備したということ、開業に対する意志をアピールすることにもなるのです。
助成金/補助金の活用
初期費用を出費するタイミングでもらえるものではありませんが、助成金や補助金の活用も資金の調達方法としておすすめです。
助成金と補助金の違いを簡単に説明すると…
【審査なし】助成金・・・労働者の『雇用促進』、『職場改善』の活動を支援する制度
【審査あり】補助金・・・事業者の取り組みをサポートするための資金の一部を給付する制度
大きなポイントとしては、助成金は条件に当てはまっていれば給付されますが、補助金の場合は審査に通過しなければ給付されません。
開業時には利用できないことが多いですが、従業員が増えたり、設備を新しく導入する時に活用してみてはいかがでしょうか。
下記は、エステサロン向けの助成金の記事でありますが、整骨院や整骨院も内容は変わりませんので、ご興味ある方はぜひご覧ください。
弊社では、銀行の融資や助成金/補助金の申請サポートも行っておりますので、お気軽にご相談ください。
整骨院/接骨院の開業までの流れや必要な準備について紹介
① 資格の取得/施術管理者の要件を確認
柔道整復師の資格を持っていない方は、専門学校に通った上で国家試験の合格を目指しましょう。
また、すでに説明していますが、施術管理者の要件を満たすように、実務経験を積み、2日間の研修を受けることを忘れないでください。
② 店舗のコンセプトや強みを考える
自分が店舗を作る時には、どのようなコンセプトを持ち、強みをどうアピールしていきたいのかを考えておくことも大切です。
コンセプトや強みが明確だと、狙うべき世代や、出店するエリア、メニューの設定などを決めやすくなります。
③ 事業計画を立てる
自分が開業するならエリアはどこにするのか、どのくらいの資金を用意しなければいけないのかなどを考えてみましょう。
事業計画が具体的であればあるほど、融資を受けやすくなるのはもちろん、スタッフとして働いている間に経営者目線を鍛える訓練になります。
【事業計画の立て方/記入する内容】
・創業動機
・経営者の経歴
・サービスの内容
・セールスポイント
・ターゲット
・競合/市場の状況
・主な取引先
・従業員数や運営体制
・借入状況/自己資金
・必要な資金/調達方法
・事業の見通し
事業計画書に記載する内容としては、上記のような項目が挙げられます。
状況を伝えるだけでなく『どのような経営をして利益を残すのか』をわかりやすく、説得力のある内容でなければなりません。
市場調査や競合分析を行った上でのマーケティング戦略、財務計画などを盛り込む必要もあるでしょう。
④ 立地/エリア/物件の選定
店舗の立地は集客、売上に大きく影響することは言うまでもありません。主要駅の近くや、人通りの多い場所など、集客しやすい場所は家賃も高くなってしまいます。
時間に余裕がある方は、開業場所に行ってみて雰囲気を確かめてみたり、利用者の年代や周辺の店舗の調査をしておくと良いでしょう。
実際に行ってみることで、自分の店舗がこの場所にあったらどうか、狙ったターゲットがきてくるのかをイメージしやすくなります。
店舗を契約する前に、施術の要件をクリアしているかを保健所に確認をしてから契約すると良いでしょう。
⑤ 内外装工事/インフラ設備
店舗が決まったら、治療所の雰囲気に合わせて内装工事をすることになります。内装工事も物件を決める時と同様に、保健所に施術スペースの広さやパーテーションについて確認しておくことが大切です。
内装工事が完了するタイミングで、水道電気ガス、電話回線やWIFIの契約をしましょう。
⑥ 機器/備品搬入/保険の契約
大型の機材を搬入したり備品を揃え始めましょう。
ここまで来ると、いつでも開業できる状態ではありますが、火災や盗難に備えて保険に入っておくことも重要です。
接骨院の場合は、物品の損失だけでなく、お客様に対しての施術ミスを起こしてしまった時のための損害保険に加入しておくと良いでしょう。
お客様とのトラブルは大きな損失となってしまう可能性がありますので、保険に加入しておくことで最小限の支払いで済ませることができます。
⑦ スタッフを採用する
整骨院や接骨院は一人でも開業することは可能ですが、規模を大きくしていくことを想定している場合は、オープン前の段階から採用を進めましょう。
施術メインを担当するのか、事務作業や清掃を担当する方を雇うのかを考慮して決めなければ、人件費が圧迫してしまうこともあります。
任せる役割を決めた上で、求めるスキルを明確にしてから募集を出すことがポイントです。
柔道整復師や整体師の資格を持っている方の応募を増やす際には、リジョブが有名ですので、採用を検討している方はぜひ利用してみてください。
⑧ 集客/予約/分析ツールの導入
整骨院や接骨院は、あはき法による広告制限がある業態なので、記載できる内容以外のことは表示することはできません。
この広告制限は、チラシや看板といったアナログな広告方法はもちろん、WEB上の広告にも当てはまります。
広告制限があったとしても、何もせずにオープンしてしまってはお客様が気づかないのは当たり前です。
遅くともオープン予定日の1ヶ月前からは集客対策を始めると良いでしょう。
保険適用の施術は広告掲載ができないものの、保健所の許可があれば、もみほぐしや骨盤矯正のようなリラクゼーション業態として掲載可能です。
ホットペッパービューティーなどの広告媒体の利用を検討されている方は、お気軽に弊社にご相談ください。
⑨ オープン/開設
広告の掲載や予約システムの導入など運営までの最終確認を行いましょう。
心配な方は本格的にお客様を呼び込む前、オープンの2,3週間前に、知人やお世話になった方のためにプレオープンをしてみるのもおすすめです。
スムーズにオペレーションを進めることができるのか、機材やシステムのエラーがないかの最終確認をしましょう。
問題点が見つかったら、オープンする前までに解決できるように、マニュアルを作ったり、チェック項目を作成するなどの対策が重要です。
保健所への開業届の提出
整骨院や接骨院は、開業後10日以内に保健所に開業届を提出しなければいけません。
国家資格が必要ない業種は、開業後1か月以内ですので、間違えないようにしましょう。
まとめ
柔道整復師として働いている方は、開業して自分の店舗を持つことを目標にしている方も多いでしょう。
しかし、開業すること自体を目標にしてはならず、集客や売上のことを意識しながら経営していかなければいけません。
「売上を伸ばすためにはどのように集客すればいいの…。」
「開業エリアを選ぶのが難しい…。」
「融資を受けられるか心配…。」
上記のような悩みを抱えている方は、お気軽に弊社までご連絡ください。
弊社では2023年7月に発表された、あはき業態向けのホットペッパービューティーの新サービスである『あはき柔整プラン』のご案内も行なっておりますので、お気軽にご相談ください。
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